「オフショア開発をはじめて知ったので、簡単に意味を理解したい」
「オフショア開発を検討しているため、基本的な情報を知りたい」
このように考えている方に向けて、オフショア開発の基礎知識を紹介します。
用語の解説はもちろんのこと、メリット・デメリット、失敗を防ぐポイント、おすすめの企業などをまとめました。
ベトナムでオフショア開発をおこなう「Solashi Co., Ltd」がわかりやすく解説いたします。プロジェクトの立ち上げからシステム運用・保守まで、日本人PMによる手厚いサポートをしてきた経験から成功に導く方法もお伝えします。
低コストで高品質なシステム開発の実現に興味がある方はぜひご覧ください。
監修者プロフィール
島添 彰
合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。
オフショア開発の基礎知識
オフショア開発(offshore development)とはシステムやアプリの開発業務を他国の企業に委託する開発手法のことです。
「offshore」は「off(離れた)」と「shore(岸)」を組み合わせた言葉であり、「海外」を指しています。
まずは、オフショア開発の定義や種類を見ていきましょう。
オフショア開発とは
オフショア開発とは、自社の開発業務を他国の開発企業・現地法人などに委託することです。
場合によっては、運用・保守業務をアウトソースすることもあります。取り扱っているプロダクトの例はシステム開発、アプリ開発、Webサービス構築などです。
オフショア開発は、基本的に以下のような流れで進んでいきます。
- 開発目的を明確化し、要件定義をおこなう
- 委託する企業を選定する
- 契約内容(契約方式・開発方式など)を確認する
- 仕様書を作成し、プロジェクト内容の詳細を詰める
- 開発状況の進捗を管理する
- 動作確認後、システムなどが納品される
この流れは、取り扱うプロダクト(システム、アプリ、Webサービスなど)が変わっても基本的に同一です。
主な種類は「請負契約」と「ラボ型開発」
オフショア開発の契約方式は、請負契約とラボ型開発にわけられます。
- 請負契約:プロダクトの仕様や納期を明確に決めてから開発を進める。短納期の場合が多い。規定のプロダクトを納期通りに納品することで報酬が発生する。
- ラボ型契約:途中の仕様変更が可能であり、開発を進めながら詳細を詰めていく。契約期間は請負契約よりも長期。一定期間内に特定の業務を実施することで報酬が発生する。
単発案件や仕様・納期が確定している案件は請負契約が適しています。
これに対して、仕様を変更する可能性がある場合はラボ型開発が最適です。追加費用のかからないケースが多いため、コストを抑えたい場合もラボ型開発をおすすめします。
オフショア開発で委託できる業務
オフショア開発では、システムやアプリの開発・運営・保守などの業務が委託可能です。
このほかにオフショアリングとしてコールセンター対応やデータ入力などの業務を委託することもあります。
オフショアリングとは、業務の一部もしくはすべてを他国に委託することです。開発業務に限らず、幅広い業務を委託する企業も存在します。
ニアショア開発との違い
オフショア開発とよく似たニアショア開発は開発業務を地方に依頼することです。
オフショア開発と違って委託する企業は主に国内企業であり、開発コストの削減や人員確保は難しいといわれています。
オフショア開発の目的
オフショア開発の主な目的は、開発コストの削減と優秀なIT人材の確保です。これらの目的を達成するため、近年オフショア開発が注目を浴びています。
開発コストの削減
オフショア開発ではIT人材1人当たりの単価を抑えられるため、大幅なコストの削減が期待できます。
開発内容や技術力の違いによって価格に差は生じますが、オフショア開発の委託先となる国の多くは発展途上国です。
中国やインドなど人件費が高くなっている国も一部ありますが、ベトナムやミャンマー、バングラデシュなどは日本よりも人件費が安い傾向にあります。
プロダクトの開発コストはIT人材の人件費が大きな比重を占めるため、最終的な費用負担を軽減できます。さらに低コストでシステム開発できるだけではありません。
コスト削減できた分、十分なリソースを確保し、プロジェクトのチームを強化して高品質なアウトプットの実現も期待できます。
関連記事:オフショア開発が抱える課題とは?8つの問題点と解決方法
優秀なIT人材の確保
海外で活躍する優秀なIT人材に業務を委託することで、日本国内と変わらないレベル、もしくは、それ以上のレベルのエンジニアを集めることが可能です。
現在、日本はIT人材不足に悩まされています。不足分のリソースを埋めるために、オフショア開発で他国のIT人材を活用する方法が広がっています。
将来的には約40万~80万人規模で人材が足りなくなる可能性もあると試算されており、現段階から対策をとっておく必要があるでしょう。
(参照:参考資料(IT人材育成の状況等について)│経済産業省)
オフショア開発の委託国ではIT人材が充実しています。たとえば、ベトナムではIT技術者の育成に国策として注力しており、IT人材が毎年多く誕生しています。オフショア開発により、潤沢な人的リソースを確保することが可能です。
オフショア開発の日本の現状
オフショア開発を取り巻く現在の日本の状況を説明します。
日本国内のオフショア開発の市場規模は拡大傾向にあり、中小規模の企業から大手まで、アウトソーシング先を海外に求めるエンドユーザーやベンダが増えています。近年の動向を見ていきましょう。
オフショア開発が日本で進んでいる背景
オフショア開発が日本国内で広がっている主な背景は、蓄積されたノウハウを活用できるようになったこと、そしてリモートワークが一般化したことです。
オフショア開発は2000年代後半ごろから開始されました。そのため10年以上にわたる開発ノウハウが関連企業に蓄積されています。
参考にできる成功・失敗事例や課題点などが十分に蓄積されたことで、プロジェクトを成功につなげやすくなりました。
また、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが日本国内で一般化してきたことも重要な背景の1つです。
海外に開発を委託するオフショア開発では、リモートでのコミュニケーションが必須です。
リモートを活用しながら他国と業務を進めることに抵抗感を持つ企業は以前よりも少なくなったので、オフショア開発を導入しやすくなったと考えられます。
オフショア開発の委託先で人気が高い国
オフショア開発国の中で特に人気が高い国は、ベトナムです。人気国ランキングは、以下のような結果になりました。
<オフショア開発委託先国別ランキング>
第1位:ベトナム(48%)
第2位:フィリピン(21%)
第3位:インド(13%)
第4位:バングラデシュ(8%)
第5位:中国、ミャンマー(4%)
第6位:ウクライナ(2%)
(参照:オフショア開発白書(2023年版)│株式会社テクノデジタル)
ベトナムが圧倒的な人気を誇っている理由として、「IT人材の育成が進んでいること」「全体的な技術力が高いこと」などが挙げられます。
ベトナムは国策としてIT人材の育成に力を入れており、優秀な人材が豊富だからです。開発国選びに悩んだ場合は、ベトナムを選ぶとよいでしょう。
関連記事:オフショア開発ならベトナムが最適な理由8つと優良な会社の選び方
オフショア開発の4つのメリット
オフショア開発を実施するメリットは数多くあります。
開発コストの増大や人的リソースの不足などの悩みを解決できるため、今後もニーズは高まっていくでしょう。ここでは、代表的なメリットを4つ取り上げます。
コストを削減しながら万全の開発体制を用意できる
オフショア開発を導入すると、より品質の高いリソースを低コストで確保できます。たとえば、日本とベトナムの開発企業のコスト比較は下記の通りです。
▼日本
開発期間:3カ月
雇用人数:2名
コスト:約540万円
▼ベトナム
開発期間:3カ月
雇用人数:5名+シニアメンバーによるサポートあり
コスト:約404万円
IT人材が不足している日本では、予算の関係上、理想的な開発体制を用意できない場合があります。
しかしオフショア開発なら、人件費を抑えることで開発環境の充実度を高められるでしょう。
リソースを管理しやすくなる
オフショア開発ではプロジェクトの内容に応じて、必要な人的リソースを確保できるため、各プロジェクトに適した開発体制を構築できるようになります。
必要な人材のボリュームやプロジェクトの規模、期間に合わせ、リソースを適宜調節できるようになるからです。
大規模な案件や短期的なプロジェクトにも柔軟にリソースを管理し、対応できるようになり、業務を効率よく進められる利点があります。
世界水準の最先端技術を活用できる
国内競合他社と差をつけられるような技術を使って開発を進められる点も、オフショア開発のメリットです。
特定の国ではAI、ブロックチェーン、IoTをはじめとした新技術に関する専門知識が蓄積されています。
グローバルなコミュニティにアクセスすることで、日本国内のみで開発を進めていては手に入りにくい情報を取得できるでしょう。
短期納品が可能になる
オフショア開発では、クラウドシステムを活用することで短納期を実現できます。複数拠点のIT人材が開発業務を同時進行で進められるからです。
日本の営業時間が終了したあとも他国の拠点で業務がおこなわれるため、進捗スピードが速いでしょう。オフショア開発は品質の高さだけでなく、納期の早さをともに実現できる手法です。
オフショア開発の4つのデメリット
オフショア開発には、メリットだけでなくデメリットも存在します。具体的なトラブルの内容を学んでおき、今後の問題発生を防ぎましょう。
コミュニケーション問題が起こり得る
オフショア開発では、さまざまな面でコミュニケーション問題が起こるリスクを理解しておかなければなりません。
英語や現地の言葉がわからない場合、情報共有や仕様書をはじめとした書類の翻訳に時間がかかります。
仕事に対する考え方の違いから、さまざまなトラブルが発生するリスクもあるでしょう。日本との時差によっては、定期的なミーティングが組みづらい場合もあります。
品質管理が難しくなる
オフショア開発を導入すると、プロダクトの最終的な品質が低下する危険があります。国によっては品質管理に関する明確な基準を設けていない場合があるからです。
また、具体的なプロセスを決めていないと、適切な状況確認ができずプロジェクトが失敗に終わるリスクがあります。
現地の進捗を正確に把握しづらいオフショア開発では、品質管理に強く配慮する必要があります。
セキュリティリスクの増大につながる
機密情報やソースコード、個人情報の漏えいにつながる可能性があるところも、オフショア開発のデメリットです。
日本と他国ではセキュリティや知的財産に対する考え方やデータ保護法が異なることがあります。
予算の関係でセキュリティ対策にコストをかけられない、必要なツールや教育にリソースを割けないケースもあります。
しかし企業の信用問題にかかわるため、セキュリティ面には気を配るべきでしょう。
そのために、オフショア開発企業がセキュリティ対策を取り入れているか、契約の段階からセキュリティ対策を取り入れられるかを確認する必要があります。
一般的なセキュリティ対策は以下のとおりです。
- 機密保持同意書へサイン
- データの暗号化
- アクセス管理や権限制御の徹底
- セキュリティ教育の実施
- セキュリティチェックシートの記入
なお「Solashi Co., Ltd」でも情報セキュリティの観点から、開発環境のみ閲覧し、本番環境での操作・閲覧は一切しないことで対策をしている案件もございます。詳しくは、弊社までお問い合わせください。
コスト高になることもある
小規模な案件の場合は、かえってコストが増大することもあります。英語に対応できる人材の用意や、リモート環境の整備などが必要だからです。
コスト削減を見込んでオフショア開発を導入したにもかかわらず、結果的に多大な支出が必要になることもあるので、自社の人材や環境を事前にしっかりチェックしましょう。
オフショア開発の失敗を防ぐ方法4つ
オフショア開発の失敗を防ぐ方法や成功につながるポイントを知っておけば、大きなトラブルは避けられるでしょう。
ここでは、オフショア開発におけるプロジェクト成功のポイントを4つ紹介します。
定期的にコミュニケーションをとる
開発企業とは、頻繁にコミュニケーションを取ることが必要です。進捗を随時確認することで、スケジュールや今後の計画について共通認識を持てるようになります。
文化の違いなどから認識のずれがあっても、早い段階でトラブルの種を摘むことができるでしょう。ミーティングの実施頻度を前もって決めておくことをおすすめします。
発注内容を明確化する
仕様書の発注内容は、細部まで的確に記載しましょう。日本では暗黙の了解となっている内容も、他国ではそうとはかぎりません。
「仕様書に書かれていない内容は搭載されない」と考え、なるべく仕様を明確化してください。具体性の高い仕様を提示することで、品質の安定化にも結びつくでしょう。
実績豊富な企業に依頼する
オフショア開発を依頼する際は、該当プロジェクトと似た実績が豊富な開発企業を選ぶとよいでしょう。
これまでに培ってきたノウハウを活用できるため、コスト面も踏まえたプロジェクトの成功につながります。プロジェクトの規模、プロダクトの種類、開発期間などを調べてみましょう。
日本人のプロジェクトマネージャー(以下、PM)が在籍している企業もおすすめです。日本企業での就業や起業経験のあるPMが、オフショア開発企業で活躍しているケースもあります。
優秀なPMをアサインできれば、円滑なコミュニケーションやプロジェクトの進捗管理、セキュリティ面の対策に期待できるでしょう。
日本企業との取引実績の豊富な「Solashi Co., Ltd」では、事業立ち上げ経験のある日本人PMが在籍しています。
案件の技術要件を深く理解し、技術レベルの議論ができます。開発言語の良し悪しを、持続可能な運用保守を見据えて選定可能です。
品質管理に力を入れている企業に依頼する
品質管理を重視している企業を選ぶと、プロダクトの品質を維持できます。
品質基準が明確に決められているか、コードレビューやテスト・機能チェック、フィードバックを実施しているか、などを確認するのがポイントです。
品質保証を担うQA(Quality Assurance)エンジニアや、全体の品質管理をおこなうブリッジSEが開発チームにいるかも見ておきましょう。
これらにより以下の効果が期待できます。
- 品質のばらつきを防げる
- エンジニアに品質のレベルを伝えられる
- エラーやバグを早期に発見し修正ができる
- 改善の実施・サイクルを回せる
オフショア開発企業のおすすめ一覧
オフショア開発を依頼するにあたっておすすめの開発企業を紹介します。
ベトナム、フィリピン、インド、ミャンマーの開発企業を1社ずつ取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
Solashi Co., Ltd
まず、弊社の紹介をさせていただきます。ベトナムを拠点とする「Solashi Co., Ltd」は、日本人PMや理工系TOPクラスの大学卒のエンジニアの高いスキルが大きな特徴です。
高い水準で技術的な議論ができることや、案件内容を理解しようとする姿勢に高い評価をいただいています。
現地のプロジェクトメンバーによる、日本語でのコミュニケーションにも問題はありません。メールでも日本語を使用し、円滑にやり取りをしています。コードレビューにも力を入れているので、安定した品質管理をご提供可能です。
日本企業との実績も豊富なので、過去のノウハウをもとに業務を進めていけます。まさに弊社は、プロジェクトの価値を創造し、成功に向けて伴走していける企業です。
株式会社Ubicomホールディングス
アメリカにも拠点を持つ、グローバルなフィリピンのオフショア開発企業です。アメリカの先端技術を活用できる環境が整っているため、グローバルな開発業務を推進したい企業におすすめします。現役エンジニアがブリッジSEを担当していることもポイントです。
株式会社AKT Health
インドのシステム企業を母体とする、ヘルスケアやライフサイエンス業界特化の企業です。AIやブロックチェーンをはじめとした先端技術に長けているので、新技術を活用した開発を検討している企業に最適でしょう。
グローバルイノベーションコンサルティング株式会社
日本語と英語が堪能なミャンマー人が在籍しているオフショア開発企業です。英語人材が用意できない場合でも、スムーズなコミュニケーションが可能でしょう。IoTやAIの開発にも対応しています。
オフショア開発ならSolashiにおまかせ
オフショア開発は、今後事業を大きく発展させるのに必須の手法となっていくことが予想されます。
メリットだけでなくデメリットもありますが、企業選びに力を入れることでトラブルを回避できます。
事業立ち上げなどを経験した日本人PMが複数人在籍する「Solashi Co., Ltd」なら、プロジェクトを成功に導くことが可能です。企業理解に長けているほか、コストパフォーマンスも非常に高い水準にあります。
ラボ型開発を使用したスモールスタートも可能なので、はじめてオフショア開発を導入する企業も安心してご依頼いただけます。
人気開発国・ベトナムでのオフショア開発を検討しているなら、「Solashi Co., Ltd」にぜひご相談ください。
島添 彰
合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。