トップ ブログ

開発リソースとは?不足する原因・影響・今後の対策を解説

開発リソースとは?不足する原因・影響・今後の対策を解説

開発リソースとは?不足する原因・影響・今後の対策を解説

ITプロジェクトを推進するための開発リソースが足りず、今後の対策に悩んでいませんか。

この記事では、ベトナムのオフショア開発会社「Solashi Co., Ltd」が、開発リソース不足を解決するために役立つ情報を解説します。

具体的には、開発リソースの概要・現状、リソース不足の原因や発生する影響、実施したい対策を取り上げます。

プロジェクトを進められずに立ち往生している場合でも、この記事を最後まで読めば、課題を解決する糸口が見つかるかもしれません。IT担当者の方は、ぜひお読みください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

開発リソースとは

開発リソースとは、システムやソフトウェア開発のITプロジェクトを進める際に必要な資源のことです。

リソースは資源・資産を意味し、目標を達成するために必要な要素や、使用することで価値を生む要素を指します。

システム開発の現場で使われる用語として、開発リソースがあります。開発リソースはおもに5種類に分類され、それぞれの具体例は以下の通りです。

開発リソースの種類具体例
人員(ヒト)従業員、社外スタッフなど
物理的資源(モノ)設備(オフィスや備品)、開発に必要な機材など
資金(カネ)人件費、オフィスの賃料、機材の導入費用など
開発にかかる時間プロジェクト遂行やトラブル対応を実施する時間など
開発に求められる情報自社に蓄積されたノウハウ、各種データなど

それぞれの開発リソースは、ITプロジェクトを推進するために重要な役割を持ちます。

特に、システム開発だけではなく、企業活動全般に大きく影響を及ぼすのが人員(以下、ヒト)です。

なぜなら、ITプロジェクトを成功させるには、エンジニアやプログラマー、プロジェクトマネージャーなどヒトの存在が欠かせないからです。

本記事では、開発リソースの中でもヒトを取り上げて詳しく説明します。

日本国内の開発リソースの現状

日本国内の開発リソースの現状を解説します。

2018年の経済産業省のDXレポート には「複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」とあり、これを2025年の崖と呼びます。

(出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~│経済産業省

2025年の崖の原因として、開発リソースの不足が挙げられます。本章では、事業会社が陥っているIT人材不足から現状をより具体的に読み解きます。

事業会社の7割がIT人材不足

独立行政法人情報処理推進機構によると、調査をおこなった事業会社(IT企業を除く)のうち約7割以上がIT人材の不足を質・量ともに感じていることがわかりました。

(参照:デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2022年度)企業調査報告書│独立行政法人情報処理推進機構

日本全体では、IT関係の人手不足に悩む事業会社が多いことがうかがえます。

もっとも人が足りないのはプログラム開発・データ分析分野

ラグザス株式会社が実施した調査によると、特に人手不足が深刻だと思われている分野はプログラム開発やデータ分析でした。

また、人手不足を解消するために技術者が個人で実施する対処法としては、新規スキルの習得やプロジェクト管理力アップが支持されていました。

(参照:【調査報告】経営者向け調査に続き、IT技術関連者にもIT人材不足における実態調査を実施。IT人材不足によりプロジェクトの進捗やサービス品質への影響は80%以上と深刻な状況│ラグザス株式会社

以上のことから、プログラム開発やデータ分析分野に詳しい人材、ハイスキルな人材が足りていない様子がわかります。

開発リソース不足の原因

開発リソース不足と言われる原因は、主に2つの理由が考えられます。

  1. 労働人口減少とIT需要の拡大
  2. IT投資にかける予算不足

労働人口減少とIT需要の拡大

現在の日本では、減少する労働人口と拡大するIT需要により、IT人材の需給に大きなギャップが生まれています。その結果人員が足りなくなり、開発リソース不足につながっていると考えられます。

総務省統計局によると、2022年10月1日時点の総人口は1億2494万7000人でした。

この人数を記録するまでの12年間、連続で総人口は減り続けています。加えて、15歳未満の人口と75歳以上の人口は以下の通りです。

  • 15歳未満の人口:1450万3000人(前年よりも-28万2000人)
  • 75歳以上の人口:1936万4000人(前年よりも+69万1000人)

(参照:人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐│総務省統計局

以上のことから、日本は人口そのものの減少と少子高齢化が進んでいるとわかります。この現象は、結果的に労働人口の減少につながるでしょう。

これに加えて、IT需要は今後も増加していく見込みです。2030年はIT人材が約79万人も足りなくなる可能性もあると推測されています。

(参照:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果~ 報告書概要版 ~│経済産業省

IT人材の不足は、開発リソースの不足にも大きく影響を及ぼすと考えられます。

IT投資にかける予算不足

会社でIT投資にかけられる予算が不足していることも、開発リソース不足の大きな理由の1つです。

ある調査では、IT投資の必要性を感じていながらも、約36%の会社が推進するための予算が不足していると回答しています。

大規模なシステム開発にもなれば、数百円単位のコストがかかります。予算が用意できなければ、システム開発や運用保守のための開発リソースを十分に確保できません

さらにIT人材を獲得するための採用コストや、エンジニアの人材育成をおこなう教育コストも足りない状況に陥ります。また、設備や機器の調達・整備が進めにくい一面もあるでしょう。

この結果、ITプロジェクトを進めるために、専門的な知識やスキルを有した人材を揃えられず、開発リソースが不足することになります。

開発リソース不足がもたらす3つの影響

開発リソースが足りないと、どのような影響が発生するのでしょうか。ここでは、主な影響を3つ紹介します。

  1. 離職率の増加
  2. スケジュールの遅延
  3. 品質の低下

離職率の増加

1つめが離職率の増加です。

開発リソース不足により、開発業務に従事している従業員の退職につながる恐れがあります。

本来プロジェクトを推進するために必要なIT人材の人数が足りず、メンバー1人あたりの担当するタスク量が増大しやすいからです。

場合によっては、残業が増えて過重労働につながるかもしれません。身体的・精神的ストレスを引き起こすこともあるでしょう。

仕事と生活とのバランス、いわゆるワークライフバランスが取りづらくなり、離職を招くことになります。

株式会社ギークニアがおこなった「ITエンジニアの退職」に関する調査では、ITエンジニアが「会社を辞めたい」と思った要因は、「給与」(70.2%)、「ワークライフバランス」(56.4%)、「評価・昇進」(43.6%)が上位を占めました。

(参照:エンジニアの退職理由ランキング1位は「給与」。サイレント退職を防ぎ、エンジニアの定着のためにすべきこと。│PR TIMES

開発リソースの不足は、ワークライフバランスを実現しづらくなり、従業員の離職を促す要因になります。

また、メンバーが退職することで、ただでさえ少ない現在の開発リソースがより不足してしまう悪循環も引き起こします。

スケジュールの遅延

組んでいたスケジュール通りにプロジェクトが進まず、予定日までにプロダクトが完成しないこともあります。

なぜなら、プロジェクトを遂行するための開発リソースが足りないと生産性や開発速度が落ちるからです。

DX化が施されていない、古いツールが導入されたままなどの不十分な開発環境が、業務効率を悪化させることもあるでしょう。

開発だけでなく、リリースのタイミングも遅れるため、業界内のトレンドや顧客のニーズに合った事業がおこなえなくなるかもしれません。スケジュールの遅延が、会社の業績に影響を与える可能性もあります。

品質の低下

人員や設備など開発環境が充実していないことからプロダクトの品質が落ちる可能性があります。

たとえば、近年Webサービスで重視されるUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)に長けた人材がいない場合、システムやアプリの外観や操作性で品質を担保するのが難しくなるでしょう。

またテストエンジニアが足りない場合、システムの挙動を確認するUIテストでの作業負担を大きくします。

「画面の崩れが見られないか」「想定通りの結果が表示されるか」など、多くの項目を確認しなくてはなりません。操作や確認ミスのリスクもあり、不具合が発生していても残ったままになるリストがあります。

開発リソースが不足することで、高い品質を実現・維持するのは難しくなります。品質が低下すれば、ユーザーからの評価も下がりかねません。

開発リソース不足を解消する5つの対策

開発リソースが足りない状況を克服し、プロジェクト成功に結びつけるためには、以下のような対策がおすすめです。

  1. 開発リソース管理の見直しと最適化
  2. 幅広い人材の採用
  3. SESの活用
  4. ニアショア開発
  5. オフショア開発

開発リソースと最適化

現在の開発リソースを最適化させることが大切です。

今いる人材の配置を最適化することで、新規の費用をかけずに成果をあげられるかもしれません。具体的には、現状のメンバーが保有するスキルを調べ、その内容に適したポジションに配置しましょう。

また、チームメンバーの稼働状況も可視化します。誰がどのような業務を担当しているのかを把握します。どれほどの時間・作業負荷がかかっているのか、タスクに費やしている時間の割合も整理しましょう。

その上で、優先順位をつけて優先度の高い業務に、適切な人材を割り振ります。雑務に時間が割かれている場合は、日常の業務を効率化するツールの導入を検討してもよいかもしれません。

幅広い人材の採用

新しくIT人材を採用する場合、さまざまな特性を持つ人材を活用してみましょう。

  • フリーランス
  • 時短勤務希望者
  • 在宅勤務希望者

フルタイムや正社員であることにこだわらなければ、人材確保がスムーズに進むかもしれません。スポット的な働き方を可能にすることで、コスト削減にもつながります。

SESの活用

SES(System Engineering Service)とは、自社以外のIT人材に開発業務を委託する派遣サービスを指します。

提供元の会社に所属する従業員が、一定期間、客先に常駐して技術的なサービスを提供する契約形態です。

対象物の完成を目的とせず、システムやソフトウェアの開発や運用・保守業務に携わります。

即戦力かつハイスキルな人材を使いやすいため、特に専門性が高いIT人材を必要とするケースに最適です。

ニアショア開発

ニアショア開発とは、主に日本国内の地方にある会社にプロダクトの開発業務を外部委託する手法です。

東京や大阪など都市部以外の東北や九州、北海道エリアで開発をおこないます。

オフィスの家賃や電気代などをはじめとしたコストを抑えられることもあり、都心よりも安く開発を進められると考えられています。

日本国内でプロジェクトを進められるため、開発環境に大きな違いはありません。一定の品質を保ちながら開発できるのが魅力の一つです。

関連記事:オフショア開発の進め方8つのステップ!失敗を防ぐポイントも解説

オフショア開発

オフショア開発は、他国の会社にプロダクトの開発業務を委託する手法です。

ベトナムやフィリピン、マレーシアなど日本よりも人件費が安い国・会社に外部委託することで、全体的なコストを抑えやすくなります。

技術レベルが高い国に依頼すれば、ブロックチェーンをはじめとした先端的な技術を使った開発も可能です。

外国語に自信がない場合は、日本人プロジェクトマネージャー(PM)が在籍する会社や、メールで日本語のやり取りが問題なく実施できる会社を選ぶとよいでしょう。

オフショア開発をより詳しく知りたい方は、『オフショア開発とは?基本知識やメリット、失敗しないための対策』をご覧ください。

開発リソースにお悩みならSolashiにおまかせ

開発リソース不足は、労働人口減少とIT需要の拡大やIT投資にかける予算不足により起きています

自社の開発リソースが足りない場合は、まずは社内の人材配置の最適化や採用活動に注力をしましょう。それでも課題が解消できないのであれば、オフショア開発やニアショア開発など、外部に委託するのが有効です。

「Solashi Co., Ltd」は、ベトナムに拠点を置くオフショア開発会社です。これまで開発リソースにお困りのお客さまからご相談を受け、数多くの開発や事業相談に携わってきました。

弊社には、優秀なエンジニアや日本人プロジェクトマネージャーが在籍しています。プロジェクトを実現するためのリソースを確保し、万全の開発体制でプロジェクトを進めます。

「開発メンバーが採用できず、安定した開発リソースを確保したい」「開発リソースがなく、開発を任せたい」などの課題をお持ちなら、ぜひ弊社までご相談ください。お客さまのプロジェクトの成功を精一杯サポートさせていただきます。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

お知らせ一覧