近年オフショア開発先の国として、ベトナムの人気が高まっています。
「オフショア開発でベトナムが人気と聞いたけど、その理由を知りたい」「どういった開発会社に依頼すればいいのかわからない」と考える企業は少なくありません。
この記事では、ベトナムがオフショア開発に適している理由やおすすめの開発会社を解説します。優良な会社の選び方を具体的にまとめているため、これから会社を調査する方はお役立てください。
ベトナムのオフショア開発で、業界全体が抱えている課題もまとめました。開発方針やコースコードの品質の低さが問題視されているため、優秀なベトナム人エンジニアと日本人PMが在籍する「Solashi」の視点から、具体的な対策を紹介させていただきます。
監修者プロフィール
島添 彰
合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。
ベトナムのオフショア開発の現状・動向
オフショア開発とは、海外の開発会社にソフトウェアやWebシステム、スマホアプリの開発運用を委託することです。
コスト削減や技術力の確保をはじめとしたメリットがあるため、多くの日本企業が実施しています。ベトナムのオフショア開発の現状・動向を見ていきましょう。
オフショア開発の受託先はベトナムが人気
オフショア開発先の国は、ベトナムが圧倒的な人気を誇っています。オフショア開発.comが公開する「オフショア開発白書(2023年版)」の開発検討先ランキングで、ベトナムが第一位に選ばれていることからも、その人気の高さがわかります。
<オフショア開発委託先国別ランキング>
第1位:ベトナム(48%)
第2位:フィリピン(21%)
第3位:インド(13%)
第4位:バングラディシュ(8%)
第5位:中国、ミャンマー(4%)
(参照:オフショア開発白書(2023年版)│オフショア開発.com)
かつて日本ではオフショア開発の受託先として、安価に依頼できる中国が人気でした。しかし現在は中国の人件費が急激に高まっているため、トレンドに変化が起きています。ベトナムは開発費を抑えられるだけではなく、親日国であることや勤勉な国民性により高い人気を集めているようです。
IT人材の育成に国が注力
ベトナムは、国家をあげてIT人材の育成を推進している国です。国策としてITエンジニアの育成(インダストリー4.0=製造業の電子化を踏まえた産業政策に向けた取り組み)をおこなっており、2030年には150万人ものIT人材輩出を目指しています。
「Vietnam IT Market Report 2023」(ベトナムITマーケットレポート2023)によると、コンピューターサイエンスおよびIT業界で働くベトナム人IT人材数は、2023年時点で53万人を記録しました。大学でIT・テクノロジー系の学問を専攻してエンジニアとして活躍する人口は、2019~2022年の期間中、毎年約5万人ほど増加しています。
なお、ベトナムのIT人材の約9割は都市部に集結しています。
ホーチミン:55.3%
ハノイ:34.1%
ダナン:5.9%
高度な開発スキルにも対応
ベトナムのIT人材は、約10年前と比べても格段に技術力が上がっています。以前はHTMLやCSSのフロントエンドしか対応できないケースも多くありました。
しかし現在は、以下のような言語やフレームワーク、ライブラリなら問題なく対応できます。
【開発言語】
・Ruby
・Javascript
・Java
・Python
・Swift
・Kotlin
・Flutter
・PHP
・Typescript
・Go
・Dart
・C
・C++
・C#
・Solidity
・Rust
【フレームワーク】
・Vue.js
・Rails
・Laravel
・React.js
・CakePHP
・Django
・Node.js
・Solidity
・Next.js
・Reactive Native
より高度な技術を保有する会社では、クラウド・基幹システム・AI・ブロックチェーンにも対応可能です。Fintech、SAPやSalesforceのパッケージ開発、GCP、AWSのインフラ設計、CI/CDまでカバーしている企業も少なくありません。
加えて、会社ごとの特徴・得意分野も明確になってきています。具体的にはクラウド構築に特化したり、コスト削減を打ち出したりすることで、差別化が進んでいます。このような動向から、自社のプロジェクトを実現するために最適な会社を選べるでしょう。
システム開発会社の急増
ベトナム全体のオフショア開発会社の急激な増加も注目すべき点です。ベトナムの情報通信省によると、2021年時点でデジタル技術を扱う会社が約64,000社も存在すると発表されています。このうち約5,600社が、2021年の1年間で新しく設立されました。
(参照:Vietnam has 64,000 digital firms in total│Vietnam News Agency)
上記のデータで取り上げられているのは、デジタル技術を扱う会社全般です。すべてがオフショア開発会社というわけではありませんが、このトレンドに合わせてシステム開発を担う会社数も増加傾向にあると見られます。
こういった流れは今後も続くと考えられるため、日本企業のビジネスを支援するオフショア開発会社はさらに増加していくでしょう。
オフショア開発にベトナムが最適な理由8選
ベトナムは、オフショア開発先として人気を集めている国です。ここでは、ベトナムがオフショア開発に最適だと評価されている理由を8つご紹介します。
エンジニアの人月単価が日本の1/2~⅓
ベトナムの人件費は、日本の1/2~1/3ほどといわれています。そのため、ITエンジニアを雇用する際も、日本と比べて人的コストを抑えられます。たとえば、日本人システムエンジニアの人月単価は、初級で60万~80万円、中級で80万~100万円、上級で100万円~が相場です。
一方、ベトナムは約40万円です。ただし開発言語や開発分野、エンジニアのレベルによって人件費に差があることをご理解ください。人的コストが抑えられる分、ベトナム人エンジニアを採用すると手厚い体制での開発ができることも大きなメリットです。
なお、開発費は総額で日本の7割程度になります。日本とベトナムの開発会社にシステム開発を委託した場合、以下のようなコストと体制の差が生まれます。
・日本の開発会社
開発期間…3カ月
雇用人数…2名
コスト…約540万円
・ベトナムの開発会社
開発期間…3カ月
雇用人数…5名+シニアメンバーによるサポートあり
コスト…約404万円
ただ人件費を抑えるだけではなく、万全の体制でプロジェクトを進められることもオフショア開発にベトナムが最適な理由です。
日本語が話せる人材の豊富さ
ほかの東南アジアの国々と比較すると、ベトナムは日本語を使える人材が多い点もポイントです。日本学生支援機構(JASSO)が2022年に発表した「2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果」では、全留学生のうちベトナム人留学生が20.4%を占めています。
(参照:2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果│独立行政法人日本学生支援機構(JASSO))
日本語学習者が多い国としても知られているため、日本語能力が高いITエンジニアを探しているならベトナムが最適です。どれだけ優秀なITエンジニアを確保できても、日本語でコミュニケーションが取れないと、スムーズに業務が進められません。プロジェクトを成功につなげるためにも、日本語能力が高い人材は必須です。
親日家が多い国民性
ベトナムは、もともと親日家が多い国として知られています。歴史的背景からも日本に対してネガティブな感情を持ちにくいため、反日デモが発生する心配もないといわれています。反日感情が強い人もいる中国と比べると、円滑なコミュニケーションが取りやすい国です。
親日家が多い理由としては、日本企業の家電製品や化粧品の人気が高いことや、日本からベトナムに向けたODA支援実績が多いことが挙げられます。日本のアニメ・漫画などへの支持が厚い点も理由の1つです。
優秀なエンジニアの多さ
ベトナムのITエンジニアは、全体的な技術レベルが高いといわれています。国策としてITエンジニアを育成し、優秀なIT人材を輩出する環境が整っているからです。中学校からコーディングの授業が実施されており、IT教育が推進されていることが伺えます。
なお、2015年に実施した「OECD生徒の学習到達度調査」の科学的リテラシーに関する調査で、ベトナムは8位にランクインしました。
(参照:OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント│文部科学省・国立教育政策研究所)
ベトナムのIT教育は、世界基準でもトップレベルにあるとわかります。
時差2時間によるビジネスでの高い利便性
ベトナムと日本の時差はたった2時間です。双方の現地時間を考慮したスケジュールを立てやすいでしょう。Web会議も、互いの就業時間内に実施することが可能です。コミュニケーションに大きなラグが発生しにくいため、想定外のアクシデントが発生した場合も迅速に対応できます。
物理距離は約3,860kmで、飛行機(直行便)を利用した移動時間は約5時間~6時間です。オフショア開発で人気が高くても、直行便がない、もしくは本数が少ない国と比べて出張しやすいため、現地視察が必要な場合も担当者の負担を軽減できます。
政変リスクの低さ
政治情勢が安定しており、政変リスクが低いところも、オフショア開発にベトナムが適している大きな理由です。ベトナムは共産党による一党体制が取られています。政治的な問題で起きるのは汚職事件が中心で、政権を揺るがすような問題が起こるリスクは低い国家です。
一方でオフショア開発先の選択肢の1つであるミャンマーは、クーデターや紛争のリスクが高いことで知られています。大きな政変が起きると、身の安全の確保が優先され、開発が中段する可能性もあります。開発スケジュールに影響を与えるため、政変リスクが低い国を開発先に選ぶことが大切効です。最悪の場合、情報インフラの遮断によってプロジェクトそのものが頓挫することも考えられます。
高い品質管理・プロジェクト管理力
ベトナムの開発会社は、品質やプロジェクトの管理スキルが高いと評価されています。言い換えれば、顧客が満足できるようなサービスを提供できるスキルを持っているということです。日本企業が高い品質を求めることを理解した上で、開発を実施する会社も少なくありません。
「オフショア開発白書(2021年版)」に掲載されているアンケート結果によると、開発会社の強みとして「品質管理・プロジェクト管理」を例に挙げている回答が最多数でした。
(参照:オフショア開発白書(2021年版)│オフショア開発.com)
このアンケートはベトナムの企業のみを調査対象としていませんが、開発会社全体の半数がベトナム企業のため、データとの高い関連性があります。
ただし品質管理・プロジェクト管理スキルは、会社によって差があることをご理解ください。なお弊社「Solashi Co., Ltd」は、事業立ち上げ経験のある日本人PMや優秀なエンジニアが在籍しているため、ベトナムでもトップレベルのサービスを提供できます。
積極的に進められているインフラ整備
ベトナムは、道路や水道のインフラ環境が整っている国です。情報インフラも整備が進んでおり、インターネット回線を問題なく利用できます。
「InternetWorldStats.com」によるとベトナムのインターネット普及率は86%であり、スムーズにビジネスを展開できる環境です。回線速度は安定しており、レストランやカフェでも、無料でWi-Fiを使えます。ネット環境を理由に連絡が途絶える心配は少ないでしょう。
ベトナムのオフショア開発でおすすめの会社一覧
ベトナムのオフショア開発を進めるにあたって、おすすめの開発会社を5社紹介します。
- Solashi Co., Ltd
- CMC Japan
- Heligate Japan合同会社
- 株式会社バイタリフィ
- ナパソリューションズ株式会社
コストの低さや技術力の高さなど、それぞれの会社に強みがあります。自社の課題や目標と照らし合わせながら見ていきましょう。
Solashi Co., Ltd
まずは弊社の紹介をさせてください。「Solashi Co., Ltd」は、「顧客の事業成長にコミットすること」に力を入れている会社です。日本人PMのスキルが高いことが特徴的です。また、スタートアップでの事業立ち上げ、CTO、ITコンサル経験のある人材を豊富に集めており、アサインが可能です。
潤沢なマネジメントリソースにより、システム開発を推進できるため、人材不足でお困りのクライアントから好評をいただいております。低コストで高品質なシステム開発を実現できるため、コストパフォーマンスも非常に高い水準にあります。
また、徹底したコードレビューをおこなっています。エンジニア間レビュー、エキスパートレビュー、必要に応じてレビューツールの導入など、案件に合わせて柔軟に対応しております。
CMC Japan
「CMC Japan」は、ベトナムにおけるオフショア開発会社トップ3に入ります。ベトナムのICTグループ「CMC Corporation」の日本法人であるため、品質の安定性が強みです。30年の実績とノウハウをもとに、世界水準の開発・保守業務をおこないます。
Heligate Japan合同会社
最先端技術のスキルが高い開発会社といえば「Heligate Japan合同会社」です。専門技術を利用したAI開発や仮想通貨を用いたシステムなど、高い技術力を必要とするシステムを多数開発しています。
日本語可能なSEも在籍しているので、安心してプロジェクトを依頼できるでしょう。
株式会社バイタリフィ
スマートフォンアプリの開発に力を入れたい場合は、「株式会社バイタリフィ」をおすすめします。AR・VR・画像認識の新技術にも造詣が深いところがポイントです。2005年設立と、ベトナムオフショア開発会社の中では長いキャリアを持っています。
ナパソリューションズ株式会社
「ナパソリューションズ株式会社」は、AIやブロックチェーンの開発に定評がある会社です。既存システムのリニューアルにおける評価も高く、Excelで作成したシステムをクラウドベースに変更することもできます。日本文化を理解したスタッフが在籍している点も魅力的です。
ベトナムのオフショア開発会社の選び方
オフショア開発をスタートしたあと、納品遅延やコミュニケーション不足などのトラブルに巻き込まれている企業も少なくありません。トラブルなくプロジェクトを進めるために、どのようなポイントに気をつけて開発会社を選べばいいのか解説します。
日本企業との取引実績が多いか
これまでの数多くの日本企業と取引をおこなってきた開発会社は社内にノウハウが蓄積されているため、スムーズに業務を進められます。日本・ベトナム間のコミュニケーションの取り方や、成果を出しやすいプロジェクトの進行方法の知識も豊富です。
また、開発依頼を検討している案件の類似実績があるかどうかも確認してください。システムの種類、開発規模、人員数などがマッチした実績がある場合は、プロジェクトの成功率も高くなるでしょう。
加えて、日本語での対応が充実していることも大きなカギとなります。契約を進める前に、下記の点をチェックしましょう。
・日本法人が存在するか
・日本語能力の高いスタッフが在籍しているか
推進体制が整っているか
システムの品質を落とさないためには、推進体制が整っているかどうかも配慮する必要があります。
そのために自社側の要求を実現し、今後システムを保持していくためのITスキルや開発リソースを確認しましょう。
・ITエンジニアの人数
・ITエンジニアの能力レベル
・PMの能力レベル
・ブリッジSEの有無ならびに能力レベル
上記を把握することで、プロジェクトを推進する体制が整っているかどうかがわかります。日本とベトナムの橋渡し的役割を担うブリッジSEが在籍しているとプロジェクトの成功に直結しやすくなるため、ブリッジSEがアサイン可能な会社を選ぶといいでしょう。
得意分野が自社のニーズとマッチするか
開発領域や開発手法における得意分野が、自社が求めている要素と当てはまるかどうかも重要です。
・開発領域:Webシステム、スマホアプリなど
・開発手法:アジャイル開発、ウォーターフォール開発など
・契約内容:請負型、ラボ型など
また、スタッフが事業内容を理解しようとする姿勢や、要求通りの規模感に抑えてシステムを構築する技術も求められます。どういった得意分野があるのかを確認し、自社の希望を実現できるオフショア開発会社を見つけましょう。
ベトナムのオフショア開発の課題と対策
ベトナムでオフショア開発会社を進める際、いくつかの課題に直面することがあります。具体的な対策方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
開発方針の違い
日本とベトナムでは、開発方針の考え方が大きく異なります。代表的な違いは以下の通りです。
・ベトナム:提案内容を優先させ、背景を考慮しないことが多い。提案スピードは早いが、内容が浅い傾向にある。
・日本:まず背景から埋めていき、最終的な提案を実施する。説得力のある提案ができる分、提案スピードが遅い。
このような考え方の違いをカバーするには、双方で積極的に対話を続けることが重要です。互いの意思をしっかりと言葉で表現し、合意形成をおこないましょう。
ソースコードの品質
ベトナムの開発環境下では、ソースコードにおける品質の低さが問題視されることが多くあります。
ソースコードのクオリティが想定した品質に達しない場合、プロジェクトのスケジュールに遅延が発生する恐れもあります。
ソースコードにまつわるトラブルを減らすには、コードレビューの徹底が必要です。ソースコードをチーム内で確認し、品質を必ず調べましょう。現状を迅速に把握することで、適切な対応がとれるようになります。
ベトナムのオフショア開発ならSolashiにおまかせ
ベトナムでオフショア開発をおこなうと、「人件費の安さ」や「ITエンジニアの技術力の高さ」といったさまざまなメリットがあります。オフショア開発会社への依頼を検討しているなら、コストパフォーマンスが高い「Solashi Co., Ltd」にご依頼ください。
事業立ち上げなどを経験した日本人PMが複数人在籍しており、ITエンジニアはハノイ工科大学、ベトナム国家大学、貿易大学といったトップ校出身者を中心に採用しています。無駄な販売費をコストカットしているため、優秀なスキルを低価格でご提供可能です。開発リソースが足りない課題点を、最適な形でサポートしていきます。
また、伴走型支援やIT導入に関するコンサルティングサービスも対応範囲です。ラボ型開発を選択していただくことで、スモールスタートやスピード感のある開発も実現できます。「Solashi Co., Ltd」は、オフショア開発を通して事業を発展させられる力を持った会社です。気になった方は、ぜひお問い合わせください。
島添 彰
合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。