オフショア開発の成功を左右する重要な存在、それがブリッジSE(Bridge System Engineer)です。ブリッジSEという言葉を聞いたことがあっても、詳しくは知らない方もいるのではないでしょうか。
「ブリッジSEは必要なのか知りたい」
「ブリッジSEの役割を具体的に知りたい」
このような方に向けて、本記事ではブリッジSEの役割から、求められるスキル、日々の業務内容まで、オフショア開発成功の鍵となる情報を詳しく解説します。ブリッジSEの重要性を理解し、オフショア開発プロジェクトを成功に導くための必須知識を身につけましょう。
島添 彰
合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。
オフショア開発とは
はじめに、オフショア開発について、以下の項目を解説します。
- オフショア開発の概要
- オフショア開発の利点
- オフショア開発の課題
各項目で、オフショア開発の基本的な情報や具体的なメリット、注意点を詳しく説明していきます。
オフショア開発の概要
オフショア開発は、企業が自国外の開発拠点やパートナー企業と連携し、ソフトウェア開発を進める手法です。英語で「Offshore Development」と呼ばれ、「offshore」は「海外で」を意味します。主に経費削減や生産性向上、海外人材の活用を目的としています。
具体的には、基幹システムやWEBシステム、アプリケーションの設計・開発、インフラ構築、運用保守などを、コストが比較的安い海外企業に委託します。
アジアの国々では国策としてIT人材の育成を進めていることもあり、オフショア開発市場が今後も拡大していくと予想されています。
オフショア開発の利点
オフショア開発には2つの大きな利点があります。
1つは、開発コストを抑えられる点です。日本国内では優秀なエンジニアの採用に高額な費用がかかるため、開発コストも高額になります。一方、海外には優秀なIT技術者が多く、日本よりも低コストで雇用できる国が豊富にあります。そのような国を選ぶことで、開発コストを削減可能です。
2つ目は、海外の優秀な人材を確保できる点です。ベトナムのようなIT人材が豊富な国を選ぶことで、高品質な成果物が期待できます。人手不足が慢性化している日本よりも、比較的容易にIT人材を確保できるでしょう。
これらの利点により、日本企業の人材・リソース不足を改善し、競争力を高められます。そのため、オフショア開発は近年特に注目を集めているのです。
オフショア開発の課題
オフショア開発には複数の課題があります。
まず、言語や文化の違いによるコミュニケーションの難しさがあります。意思疎通の齟齬が品質低下やスケジュール遅延を招く可能性があるため、注意が必要です。
次に、地域特有の商習慣や労働文化の違いから、プロジェクト管理が複雑化することがあります。例えば、休暇の取り方や業務の進め方の違いが進捗管理に影響を与えることがあります。
さらに、国ごとに違うセキュリティ体制、知的財産保護の考え方など、オフショア特有の課題にも対応が求められます。
これらの課題を克服するには、両国の文化や慣習を理解し、高いコミュニケーション能力を持つブリッジSEの存在が不可欠です。
ブリッジSEとはなにか
ブリッジSEは、クライアントとオフショア開発チームの間でプロジェクトの調整を担当するシステムエンジニアです。「BrSE」と略されることもあります。技術的な知識に加え、優れたコミュニケーションスキルとプロジェクト管理能力を持つ人材です。主な役割として、プロジェクトの進行管理、クライアントとの円滑なコミュニケーション、品質のチェックなどがあります。
ブリッジSEは、ITの技術力、マネジメント能力、言語力、コミュニケーション能力、文化・習慣の理解力を駆使し、これらの業務を遂行します。また、開発メンバーの指導、教育、管理にも携わり、文化や言語の壁を乗り越えてプロジェクトの成功を支えているのです。
ブリッジSEの重要性
ブリッジSEは、オフショア開発のプロジェクトを成功に導く重要な存在です。
オフショア開発では、先述した言語や文化の違い、地理的な距離、時差などが大きな課題となります。これらは、コミュニケーションの齟齬やプロジェクト進行の遅延の原因になるかもしれません。
ブリッジSEは、高い語学力と文化理解力、技術知識を駆使してこれらの問題に対処します。まず、言語の壁を越えて正確な情報伝達を行い、文化の違いによる誤解を最小限に抑えることが可能です。さらに、技術的な観点から要件を適切に解釈し、開発チームに明確な指示を出すことで、プロジェクトの進行をスムーズにします。
このようなブリッジSEの取り組みにより、プロジェクトの遅延やクオリティの低下のリスクが軽減されます。結果として、プロジェクトの成功につなげられるのです。
ブリッジSEの主要な役割と業務
ブリッジSEは、ブリッジSEの役割と業務について、下記の3つに分けて解説します。
- プロジェクトの橋渡しと調整
- 技術的な翻訳と補足
- 品質管理とプロジェクト進行
これらを通じて、ブリッジSEはプロジェクトを成功へと導きます。
プロジェクトの橋渡しと調整
ブリッジSEの最も重要な役割は、日本側のクライアントとオフショア開発チームの間で、プロジェクトの要件や目標を正確に伝達することです。クライアントの要求を詳細にヒアリングし、それをオフショア側に明確に説明します。
この過程で、文化や言語の違いを考慮しながら、双方の認識のズレを防がなければなりません。例えば、日本特有のビジネス慣習や暗黙の了解を、オフショア側にわかりやすく説明することも重要な業務の一つです。
技術的な翻訳と補足
設計書や仕様書の翻訳も、ブリッジSEの重要な業務の一つです。これは単なる言語変換以上の作業を必要とします。ブリッジSEは技術的な知識を活かし、設計書の技術的な翻訳を実施するとともに、現地エンジニアが理解しやすいように補足説明を追加します。
技術用語の適切な変換と解説も行い、プロジェクトの技術的な側面での誤解を防ぎます。この過程で、日本とオフショア先の技術用語の違いや、開発手法の差異なども考慮に入れることも必要です。
品質管理とプロジェクト進行
開発の進捗管理や品質保証も、ブリッジSEの重要な役割です。定期的に進捗を確認し、日本側のクライアントに報告します。同時に、日本側の品質基準をオフショア側に正確に伝え、その基準が満たされているかを常にチェックします。
また、時差や休日の違いなども考慮しながら、プロジェクトが遅延なく進行するよう管理することも重要な業務です。
ブリッジSEに求められるスキル
オフショア開発の成功には、ブリッジSEのスキルが重要です。具体的には以下のスキルが求められます。
- システム開発に関する技術力
- 高いコミュニケーション能力
- 的確なプロジェクト管理能力
- 地域の文化・習慣への理解力
各スキルについて詳しく解説します。
システム開発に関する技術力
ブリッジSEには、システム開発に関する高度な技術と深い知識が求められます。この能力により、開発チームの技術的な問題の解決と、最適な技術ソリューションの提供が可能になります。
具体的なスキルとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 複数のプログラミング言語(JavaやPythonなど)の習得
- データベース設計やネットワーク構築の経験
- システムアーキテクチャの理解
- 最新の技術トレンドへの精
これらのスキルにより、プロジェクトの品質と効率を向上させることが可能です。
コミュニケーション能力
ブリッジSEにとって適切なコミュニケーション能力は欠かせません。技術的な内容をクライアントにわかりやすく伝え、クライアントのビジネス要件を正確に把握し、開発チームに明確に伝える必要があります。
以下のようなポイントに配慮できるブリッジSEは、コミュニケーション能力が高いといえるでしょう。
- 専門用語を避け、平易な言葉で説明する能力
- 文化や言語の違いによる誤解を防ぐ能力
- クライアントと開発チーム間の意見調整能力
- 効果的な議事進行と会議運営のスキル
これらのスキルにより、スムーズで質の高い開発が可能になります。
プロジェクト管理能力
プロジェクト管理能力もブリッジSEには不可欠です。プロジェクトの進行を管理し、スケジュールや予算を適切にコントロールする能力が求められます。さらに、予期せぬ状況に対して迅速かつ適切に対応する力も重要です。
具体的なスキルとしては、以下のようなものが挙げられます。
- プロジェクト計画の策定と実行
- リソースの効率的な配分
- 進捗状況の監視と報告
- リスク管理と問題解決
- 突発的な事態への柔軟な対応
このようなマネジメントスキルをもったブリッジSEに任せることで、プロジェクトを円滑に進行させ、成功に導くことが可能です。
弊社「Solashi Co., Ltd」は、オフショア開発の経験が豊富なブリッジSEが多数在籍しています。これまでの経験を活かし、効率的で高品質なシステム開発が可能です。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
地域の文化・習慣への理解力
ブリッジSEを選ぶ際、多様な文化への深い理解は重要なポイントです。文化に対する洞察力を持つブリッジSEは、異文化間の摩擦を軽減し、プロジェクトの成功に大きく貢献します。
例えば、国によっては、日本ほど時間に厳格でない場合があります。この文化的差異を認識し、余裕を持ったスケジューリングをすることで、プロジェクトの遅延を防げます。また、コミュニケーションスタイルの違いにも注意しなければなりません。日本の婉曲的な表現が、海外の開発チームには理解されにくいことがあるのです。
文化的背景を理解したブリッジSEは、これらの違いを適切に橋渡しし、円滑なコミュニケーションを実現できるでしょう。
ブリッジSEの体制
ブリッジSEは、オフショア開発会社が用意するパターンと、発注側が用意するパターンがあります。それぞれの特徴について解説しましょう。
開発会社が用意するパターン
開発会社が提供するブリッジSEの体制では、オフショア開発に特化した専門家がプロジェクトの橋渡し役を担います。このパターンの最大の特徴は、ブリッジSEがオフショア開発の経験が豊富で、両国の文化や言語に精通していることです。
このアプローチのメリットには、以下のようなものがあります。
専門性:オフショア開発に特化した知識とスキルを持つブリッジSEが配置されるため、多くの課題を事前に回避できます。
言語・文化の壁の解消:両国の言語や文化に精通しているため、コミュニケーションの齟齬を最小限に抑えられます。
効率的なプロジェクト管理:オフショア開発特有の問題に対処するノウハウを持っているため、プロジェクトを円滑に進行できます。
リスク軽減:発注側の負担が比較的少なく、オフショア開発のリスクを軽減できます。
一方で、デメリットとしては以下が挙げられます。
コスト:専門性の高いブリッジSEを配置するため、一般的に費用が高くなる傾向があります。
業界知識の欠如:発注側の業界に特化した知識が不足している可能性があります。開発会社が自社の業界で開発実績があるかなど、事前調査が必要です。
発注側が用意するパターン
発注側が用意するパターンでは、自社の従業員がブリッジSEの役割を担います。このアプローチでは、自社のビジネスや業界に深い理解がある人材がプロジェクトを主導できます。
メリットには以下のようなものがあります。
コスト削減:外部のブリッジSEを雇用しないため、人件費を抑えられる可能性があります。
業界知識の活用:自社の業界や製品に関する深い理解を持つ人材が開発を主導できます。
直接的なコントロール:プロジェクトの進行を自社でより直接的にコントロールできます。
デメリットとしては以下が挙げられます。
オフショア開発の経験不足:オフショア開発特有の課題に対処するノウハウが不足している可能性があります。
言語・文化の壁:海外とのコミュニケーションに慣れていない場合、誤解や遅延のリスクが高まります。
負担増大:オフショア開発のマネジメントが自社の負担となり、本来の業務に支障をきたす可能性があります。
オフショア開発経験が少ない場合は、様々なトラブル発生が予想されます。もし自社にブリッジSEの経験がある人材がいなければ、ブリッジSEのいる開発会社を探すとよいでしょう。
ベトナムのオフショア会社Solashiの5つの強み
Solashiはベトナムに拠点を置くオフショア開発会社です。Solashiの強みは、高度なスキルを持つブリッジSEを中心とした開発体制にあります。具体的には、Solashiの強みは以下の5つです。
- 日本人ブリッジSEによる効果的なプロジェクト管理
- 事業視点からの開発アプローチ
- 高度な技術力と柔軟な対応
- 多様なプロジェクト経験
- 総合的なサポート体制
順番に、詳しくご紹介します。
日本人ブリッジSEによる効果的なプロジェクト管理
Solashiの特徴は、クライアントの事業を深く理解した日本人プロジェクトマネージャーが案件に参画し、開発チームとクライアントの架け橋となることです。彼らは、クライアントの意図を正確に把握し、それを開発チームに明確に伝達することで、プロジェクトの円滑な進行を確保します。
さらに、ベトナムのオフィスに在籍するコミュニケーターも、日本語でのビジネスコミュニケーションに長けています。これにより、クライアントの要望を細部まで理解し、開発の方向性を適切に設定・調整することが可能です。
この二重のコミュニケーション体制により、プロジェクトの質と効率を大幅に向上できます。
事業視点からの開発アプローチ
Solashiは単なる技術提供にとどまらず、お客様の事業計画から逆算して最適な開発アプローチを提案します。ブリッジSEを含む開発チームは、ビジネスのコアから出発し、事業戦略をすり合わせながら効率的で持続可能なソリューションを提供します。これにより、不要な開発を避け、事業価値の創造に直結するシステム開発を実現します。
高度な技術力と柔軟な対応
Solashiの開発チームは、ハノイ工科大学やベトナム国家大学など、ベトナムの理工系トップクラスの大学を卒業したITエンジニアで構成されています。最新の技術トレンドに精通し、システム設計からプログラミングまで幅広い技術スキルを持つブリッジSEや開発メンバーが、複雑な技術的課題に迅速に対応します。
また、プロジェクトの途中での要件変更や追加開発にも柔軟に対応できる体制を整えている点も特徴です。スタートアップのような急な変化の多いプロジェクトでも、臨機応変な対応が可能です。
多様なプロジェクト経験
Solashiは教育、金融、人材など多様な業界のシステムを開発してきた豊富な実績があります。この経験を活かし、プロジェクトの特性やクライアントのニーズに応じた最適な開発体制を構築可能です。ブリッジSEを含む開発チームは、過去のプロジェクトで得た知見を活用し、効率的かつ効果的なプロジェクト管理を実現します。
総合的なサポート体制
Solashiは、システム開発だけでなく、ITコンサルティング、システム運用、さらには補助金申請サポートまで、幅広いサービスを提供しています。ブリッジSEを中心とした開発チームと、これらの付加的なサービスを組み合わせることで、お客様のIT戦略を総合的にサポートします。
オフショア開発の成功を目指すならSolashiでブリッジSEを確保しよう
本記事では、オフショア開発の概要から、ブリッジSEの役割と重要性、そして選び方のポイントまで幅広く解説しました。ブリッジSEは、言語や文化の壁を越えて、クライアントと開発チームを繋ぐ重要な存在です。
適切なブリッジSEを選ぶことは、オフショア開発プロジェクトの成功に直結します。経験、技術力、コミュニケーション能力、文化理解力などを総合的に評価し、プロジェクトに最適な人材を選択することが重要です。
「Solashi Co., Ltd」にはこれらの要件を満たす優秀なブリッジSEが多数在籍しており、最適なコミュニケーションを実現します。
加えて、私たちは単なるシステム開発にとどまらず、お客様の事業成長に向けた戦略的な提案も実施しています。明確な要件が決まっていなくても構いません。お客様の課題やお悩みに基づき、最適なシステムソリューションを設計いたします。オフショア開発で成功を目指す方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」にお問い合わせください。
島添 彰
合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。