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システム運用・保守にかかるコストの内訳は?相場や削減方法も紹介

システム運用・保守にかかるコストの内訳は?相場や削減方法も紹介

システム運用・保守にかかるコストの内訳は?相場や削減方法も紹介

システム運用・保守のコストは、多くの企業にとって大きな負担となっています。

「運用コストが予想以上に高くなっている」
「コスト削減の余地はあるが、どこから手をつければいいのか分からない」

こうした悩みは珍しくありません。システム運用・保守コストは、適切な方法を用いることで大きく削減できます。本記事では、これらのコストの具体的な内訳と相場を紹介。さらに、コストが高くなる理由と、効果的な削減方法をご説明します。コスト管理に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

システムの運用・保守とは

システムの運用・保守は、開発後のシステムを安定的に活用するための重要な業務です。

運用とは、システムを円滑に稼働させるための日常的な作業を指します。具体的には、操作指示、設定変更、管理、監視などが含まれます。

一方、保守は、システムの障害や不具合に対処する業務です。故障やエラーの予防、トラブル発生時の復旧作業などが該当します。これらの活動は、システムの安定性と効率性を維持するために不可欠です。

適切な運用・保守により、システムのダウンタイムを最小限に抑え、ユーザーの生産性を高められます。さらに、セキュリティリスクの軽減、データの完全性維持、システムの長寿命化が可能になります。

システムの運用・保守コストの内訳

システムの運用・保守にはランニングコストが発生します。ここでは、システムの運用・保守コストの内訳をまとめました。

  • インフラ運用費
  • アプリケーション運用費
  • ビジネス運用費
  • リース費用、レンタル費用
  • 人件費
  • 外部委託費

それぞれについて、詳しく解説します。

インフラ運用費

インフラ運用とは、サーバーやネットワークなど、システムを運用するために必要なITインフラを支える監視やオペレーション業務です。インフラ運用では、以下のような作業に関するコストが発生します。

  • ハードウェアの管理・故障対応
  • ネットワーク障害の対応
  • データのバックアップ・復旧
  • インフラのセキュリティリスクへの対応

これらの業務は、システムの安定稼働と安全性確保に不可欠です。近年のSaaSの普及により、従来のオンプレミス環境と比べてコスト構造が変化しています。そのため、クラウドサービスの利用料や、セキュリティ強化のための投資なども、この項目に含まれることが多くなっています。

アプリケーション運用費

アプリケーション運用とは、アプリケーションを安定稼働させるための業務全般を指します。アプリケーション運用では、以下のような作業のための費用が発生します。

  • アプリケーションのバグやトラブル対応
  • OSアップデートに伴う不具合対応
  • パフォーマンス最適化
  • ユーザーインターフェースの改善

これらの作業は、システムの安定性と使いやすさを維持するために不可欠です。定期的なメンテナンスや改善により、ユーザーの満足度が向上し、システムの寿命を延ばすことができます。結果として、長期的な運用コストの削減にもつながります。

ビジネス運用費

ビジネス運用費は、システムの利用者向けサービスに関するコストです。主な費用項目は以下のとおりです。

  • ヘルプデスクの設置・運営
  • ECサイトの運営管理
  • マーケティングオートメーション対応
  • SEOやリスティング広告の実施

これらの費用は、システムを活用したビジネスを円滑に進め、顧客満足度を高めるために不可欠です。効果的な投資により、売上増加やブランド価値向上につながる可能性があります。

リース費用、レンタル費用

システム運用に必要な機器や設備を所有せずに利用する方法として、リースとレンタルがあります。リースとは、長期間の利用を前提とした契約形態で、レンタルは比較的短期の利用を想定したものです。リース費用とレンタル費用は、サーバー、ネットワーク機器、PC等のハードウェアを借りるために支払う定期的な料金のことを指します。

これらの方法を活用することで、高額な初期投資を避け、コストを月額や年額の定期支払いとして平準化できます。その結果、柔軟な予算管理が可能となり、最新技術の導入もスムーズになるでしょう。

人件費

システムの運用・保守には、専門知識を持った人材が不可欠です。この人件費には、システム管理者、ネットワークエンジニア、セキュリティ専門家などの給与が含まれます。

人材の育成・確保は重要な課題であり、継続的な教育投資も必要です。適切なスキルを持つ人材を配置することで、システムの安定性向上や問題の迅速な解決が可能になります。

外部委託費

運用・保守業務は、開発会社やアウトソーシング会社など、外部に委託することも可能です。運用・保守業務の一部または全部を外部に委託することで、専門性の高いサービスを効率的に利用できます。

その他、外部委託には、最新技術へのアクセス、24時間365日の対応、コストの変動費化といったメリットがあります。

システムの運用・保守コストの目安相場

システムの運用・保守コストの目安相場はどの程度なのでしょうか。一般的に、システム運用・保守にかかる年間コストは、システム開発費の約15%程度が目安であるといわれています。

たとえば、1,000万円で開発したシステムであれば、約150万円が年間にかかる運用・保守コストの目安となります。15%よりも大幅にコストがかかっている場合、費用の削減や見直しをしてみるとよいかもしれません。

ただし、安定稼働に必要な費用を過度に削減するのは危険です。コストの妥当性評価には、費用対効果の検証が有効です。通常、「利益÷投資額×100%」で算出しますが、運用・保守業務では利益算出が難しいため、以下のような指標を用いて適正稼働率を判断するのがよいでしょう。

  • 保守時間達成率:実績時間 ÷ 見積時間(保守作業の効率性を示す)
  • 即答率:即答件数 ÷ 相談件数(問い合わせへの迅速な対応能力を表す)

システムの複雑さや重要度によってコストは変動するため、業界標準や自社の過去データと比較しながら、適切な予算配分を検討することが重要です。また、定期的な見直しにより、コストの最適化と運用品質の向上を図ることをおすすめします。

システムの運用・保守コストが増える理由

運用・保守コストが増える理由には、以下のようなものがあります。

  • セキュリティ基準の高まり
  • システムの老朽化
  • システムの複雑化

それぞれ解説していきます。

セキュリティ基準の高まり

1つは、社会全体におけるセキュリティ基準の高まりです。近年、IT化やグローバル化の急速な進展に伴い、セキュリティに対する社会的要求が厳格化しています。コンプライアンス、ガバナンス、CSR(企業の社会的責任)の基準が高まり、消費者のセキュリティ意識も向上しています。セキュリティ事故や情報漏洩は企業イメージを著しく損なうため、高度なセキュリティ対策が不可欠となりました。

結果として、求められるセキュリティレベルに対応するためのコストが増加しています。これには、最新のセキュリティ技術の導入、従業員教育、専門家の雇用などが含まれ、避けられない投資となっています。

システムの老朽化

長年使用されているシステムは、時間の経過とともに様々な問題を引き起こします。サーバーや端末の経年劣化によるトラブルが増加し、その都度の対応コストがかさんでしまうのです。

特に深刻なのは、メーカーサポートが終了したシステムの維持です。サポート延長には高額な費用がかかり、セキュリティリスクも高まります。このような状況では、システムを新しく作り直すことが賢明です。

Solashiは、老朽化したシステムの課題に対し、最新技術を活用した効率的な再構築サービスを提供します。事業全体を理解し、段階的な開発で、リスクとコストを最小化。最新技術導入で長期的な運用コストを削減し、柔軟な開発体制でニーズに対応します。システムの老朽化でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

システムの複雑化

長年運用されているシステムは複雑になっていく傾向があります。機能や仕様の変更が繰り返されることで、継ぎ足しの多い一貫性のないシステムになるからです。システム複雑化が引き起こす問題としては、以下のものが挙げられます。

  • 運用・保守に必要な工数の増加
  • システムの全体像を把握できる人材の不足
  • 特定の担当者への依存度の増加

これらの要因により、システムの運用・保守コストは時間とともに増加する傾向にあります。このコスト増加を抑えるためには、定期的なシステム評価と最適化が重要です。

システムの運用・保守コストを抑える方法

システムの運用・保守コストを効果的に削減するには、様々なアプローチが考えられます。ここでは主要な6つの方法を紹介します。

  • 運用の自動化
  • 依頼内容の見直し
  • 委託先の見直し
  • クラウドインフラの導入
  • ソフトウェアライセンス数の見直し

1つずつ見ていきましょう。

運用の自動化

システムの運用・保守コスト削減には、業務の自動化が効果的です。自動化により作業工数が減少し、人件費の削減が期待できます。ただし、一度にすべての業務を自動化することは現実的ではありません。そのため、段階的なアプローチが重要です。

まずは、業務全体を細かいタスクに分解することから始めましょう。この過程で、複雑な作業をより単純な要素に分割できます。細分化されたタスクを分析することで、自動化可能な部分が明確になり、優先順位をつけやすくなるのです。

次に、比較的簡単な作業から自動化を進めていきます。例えば、定期的なバックアップやログ分析、簡単なレポート生成などから始めるのが良いでしょう。

徐々に自動化の範囲を広げていくことで、より複雑な業務にも対応できるようになります。この過程で、業務フローの見直しや効率化も自然と進むため、全体的な運用方法の改善にもつながります。

依頼内容の見直し

外部委託している運用・保守業務は、定期的な内容の見直しが重要です。システムの運用期間が長くなると、不要となる業務が出てくる可能性があるからです。

定期的な確認の機会を設け、現在の業務内容の必要性を再評価しましょう。委託先と協議しながら、最適な運用方法を模索することでコスト削減が可能となります。

委託先の見直し

委託先を見直すことで、運用・保守費用を削減できる可能性があります。以下のような問題が見られる場合は、新たな依頼先の検討が有効かもしれません。

  • コスト効率の低下
  • 技術の陳腐化
  • レスポンスの遅さ
  • コミュニケーション不足
  • セキュリティ対策の不十分さ

これらの問題がある場合、新たな委託先を探すことで、コスト削減とサービス品質向上の可能性があります。ただし、現在の委託先のシステムへの理解や蓄積されたノウハウも考慮しましょう。定期的な市場調査と比較検討で最適な委託先を選定し、効率的な運用・保守を目指しましょう。

クラウドインフラの導入

AWS、Azure、GCPなどのクラウドインフラを利用することで、大幅なコスト削減が見込めます。具体的には、以下の特徴があります。

  • 初期投資の抑制:高額なサーバー購入が不要
  • 柔軟な支払い:使用量に応じた従量課金制
  • 運用コストの削減:サーバーメンテナンス、更新作業の軽減
  • スケーラビリティ:必要に応じたリソース調整で無駄を省く
  • セキュリティコストの最適化:高度な対策を低コストで実現

特にオフショア開発を検討している企業にとっては、地理的制約を受けにくいクラウドインフラの活用が効果的です。

さらに、端末の故障時も、データやアプリケーションは中央サーバーにあるため、迅速な復旧が可能です。結果として、ダウンタイムの短縮やユーザーの生産性向上にもつながり、間接的なコスト削減効果も期待できます。

ソフトウェアライセンス数の見直し

システム運用コストの中で、ソフトウェアライセンス費用は大きな割合を占めています。ライセンス数の適切な管理と定期的な見直しは、効果的なコスト削減策となります。各ソフトウェアの使用状況を詳細に分析し、使用頻度の低いものや重複機能を持つソフトウェアを特定することが重要です。不要なライセンスを解除することで、継続的な費用削減が可能になります。

この見直しは、直接的な費用削減だけでなく、ライセンス管理や更新手続きの労力削減といった間接的なコスト削減にもつながります。さらに、定期的なライセンス監査を実施し、使用状況と契約内容の整合性を確認することで、無駄な支出を防ぎ、コンプライアンスリスクも低減できます。ソフトウェアライセンスの最適化は、継続的な取り組みとして行うことで、長期的なコスト管理に大きく貢献します。

運用・保守費用を抑えられるシステムの開発は、Solashiにお任せ

システム運用・保守コストの最適化は、多くの企業にとって重要な課題です。コスト削減は必要ですが、システムの安定性と効率性を損なわないよう慎重に進める必要があります。

Solashi Co., Ltdは、お客様の事業目標を深く理解し、将来の運用・保守コストを考慮した開発計画を立案します。小規模なプロジェクトから始め、段階的に拡大するアプローチにより、長期的なコスト最適化を実現することが可能です。
ベトナムの優秀なエンジニアと日本人PMの連携により、高品質かつコスト効率の良い開発を実現。将来の運用・保守まで見据えたシステム設計で、長期的なコスト削減と事業成長を支援いたします。将来の運用・保守コストを見据えたシステム開発や既存システムの最適化をお考えの方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」にご相談ください。長期的なコスト削減と事業成長を支援いたします。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

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