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ベンダー選定とは?選定プロセスや評価ポイントをわかりやすく解説

ベンダー選定とは?選定プロセスや評価ポイントをわかりやすく解説

ベンダー選定とは?選定プロセスや評価ポイントをわかりやすく解説

ベンダー選定は、システム開発や運用を依頼する際の重要なステップです。優れたベンダーを選ぶことで、豊富な専門知識とノウハウを活用できます。しかし、適切なベンダーを見つけるのは簡単ではありません。

「ベンダー選定のプロセスを知りたい」
「ベンダー選定の評価ポイントを知りたい」

このようにお悩みの方に向けて、この記事ではベンダー選定のプロセスや評価ポイントを詳しく解説します。自社に最適なベンダーを見つけるためには、これらの要素を正しく理解することが不可欠です。また、選定時の注意点もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

ベンダー選定とは

ベンダー選定とは、システムの構築や運用保守、リプレイスなどを依頼する企業を選定することです。IT業界では「ベンダー」という言葉が幅広く使われますが、この記事では、特に「システム開発会社」に焦点をあてて解説をします。

選定では、コストや品質、実績など多角的な視点から評価を実施します。適切なベンダーを選ぶことで、以下のような利点が得られます。

  • 高品質なシステムの実現
  • プロジェクトの円滑な進行
  • 長期的なパートナーシップの構築

最適なベンダーを選ぶことは、プロジェクトを成功に導く鍵となるでしょう。

ベンダー選定の重要性

ベンダー選定は、明確な基準に基づいて慎重に行うべき重要なプロセスです。直感や単純な価格比較だけで選ぶと、次のようなトラブルに見舞われる可能性があります。

  • 想定したものと異なるシステムが完成した
  • 設定した予算よりもコストがオーバーした
  • 修正作業が多く発生して、スケジュールが大幅に遅延した

システム開発は後戻りが難しいため、ベンダーの選定には細心の注意を払う必要があります。費用対効果の高い開発を実現するには、明確な選定基準を設け、時間をかけて自社に最適なベンダーを見極めることが不可欠です。適切なベンダー選定は、プロジェクトの成功率を高めるだけでなく、長期的な事業成長にもつながります。

ベンダー選定のプロセス

ベンダー選定は、下記の流れでおこなうのが一般的です。

  1. 事前調査
  2. 選定準備
  3. ベンダーの評価・選定

ここでは、それぞれのフェーズでおこなうべきこと、ポイントなどを紹介します。

1. 事前調査

最初におこなうのが、事前調査です。事前調査では、候補となるベンダーの調査とRFI(Request For Information=情報提供依頼書)の作成・送付などを実施します。具体的な方法を解説します。

候補となるベンダーを調査する

まずは、候補となるベンダーをピックアップしましょう。ピックアップする会社の数は、10社を目安にすると良いでしょう。この10社という数は、十分な選択肢を確保しつつ、調査の労力を適切に保つのに適しています。

もし選択肢が少なすぎると比較検討が難しくなり、多すぎると詳細な調査が困難になります。自社のリソースを考慮しながら適切な数を選びましょう。

調査は、各ベンダー企業のウェブサイトでの実績確認から始めます。また、業界内の他企業から個別に情報を収集したり、セミナーや展示会に出向いて情報を収集したりといった方法も有効です。

RFIを作成・送付する

候補となるベンダーをピックアップしたら、RFIを作成・送付します。RFIとは、ベンダーの基本情報やサービス情報、技術情報などを含んだ資料の提供を依頼するものです。

ベンダーから必要な情報を正確に提供してもらえるように、ベンダーが円滑に回答できる質問項目を設定しましょう。RFIの回答納期は、1〜2週間程度とするのが一般的です。

また、送付するRFIは同じフォーマットに統一しましょう。すべて同じ質問項目に統一することで、ベンダーの比較が容易になります。

2. 選定準備

事前調査を終えたら、次はベンダーからの具体的な提案を求め、評価するための準備をします。このステップでは、下記を実施します。

  • 候補ベンダーの絞り込み
  • RFP(Request For Proposal:提案依頼書)の作成
  • 評価項目の設定

これらは、候補ベンダーを公平に比較し、最適なパートナーを選ぶための重要な基盤となります。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

候補ベンダーの絞り込み

ベンダーからRFIの回答を受け取ったら、内容を精査し、候補を絞り込みます。自社の目的に沿わないベンダーは、この段階で候補から除外しましょう。

RFPを作成・提出する

選定された候補ベンダーに対して、次は候補ベンダーの絞り込み(Request For Proposal:提案依頼書)を提出します。RFPは、システム導入の目的や要望、現状の課題などをベンダーに明確に伝えるための文書です。これにより、自社の実情に即した提案を受けられるほか、ベンダーとの認識を合わせる役割も果たします。

RFPには以下の項目を含めることが重要です。

  • 自社の概要
  • 導入目的
  • 現状の課題
  • 自社の要望
  • 依頼する業務範囲
  • システム要件
  • テスト要件
  • システム移行要件
  • ユーザー教育要件
  • 希望する開発体制

これらの情報を明確に記載することで、より具体的で適切な提案を受けられます。

選定基準を決定する

RFPの作成と並行して、選定基準も決定しましょう。明確な選定基準がないと、単なる印象や価格だけでベンダーを選んでしまう危険性があります。適切な選定基準を設けることで、以下のメリットが得られます。

  • 客観的な比較が可能になる
  • 自社のニーズに合ったベンダーを選びやすくなる
  • 選定プロセスの透明性が高まる

選定基準は、技術力、実績、コスト、サポート体制など、多角的な視点から設定することが大切です。具体的な評価項目については後ほど詳しく解説します。

3. ベンダーの評価・選定

選定準備が完了し、ベンダーからの提案書を受け取ったら、最も重要な段階である最終的な評価と選定に入ります。この段階は、プロジェクトの成否を左右する極めて重要なプロセスです。

慎重かつ公平な評価を行い、自社のニーズに最も適したベンダーを選定することが求められます。具体的な評価・選定のプロセスについて見ていきましょう。

RFPに対する提案書の確認

ベンダーからRFPに対する提案書を受け取ったら、内容を細かく確認します。提案内容に不明点や疑問点があれば、ベンダーに問い合わせて解消しておきましょう。

また、ベンダーによっては、提案内容を補完するためにプレゼンテーションが実施される場合もあります。このプレゼンテーションも評価の対象とし、資料や説明のわかりやすさ、質疑応答のスムーズさなどを見極めましょう。これらは実際のシステム開発でのコミュニケーション能力を示す重要な指標となります。

最終評価・ベンダーの選定

提案書の内容やプレゼンテーションの結果を参考にして、最終評価を実施します。ベンダーごとの評価結果をプロジェクトメンバー間で共有し、詳細に検討することが大切です。

評価項目をベースにしつつ、ベンダーの意欲やコミュニケーション能力など、数値化しにくい要素も含めて総合的に議論しましょう。また必要に応じて追加情報を収集することも重要です。徹底した議論を重ね、最終的な一社を決定しましょう。

選定基準の決定方法

先述した選定基準について、より深く掘り下げて解説します。ベンダー選定において、適切な選定基準を設定することは非常に重要です。選定基準は、客観的かつ公平にベンダーを比較し、自社のニーズに最も適したパートナーを選ぶための指標となります。適切な選定基準を用いることで、感覚的な判断ではなく、明確な根拠に基づいた選定が可能になります。

選定基準は、評価項目とその配点から構成されます。評価項目は、ベンダーの能力や提案内容を多角的に評価するための具体的な観点です。一方、配点は各評価項目の重要度を数値化したものです。順番に詳しく解説しましょう。

1. 評価項目を決める

ベンダーを客観的に評価するための項目を決めましょう。以下の項目を設定するのが一般的です。

  • ベンダーの事業継続性・安定性
  • 開発実績・得意な分野
  • コスト
  • 要件の網羅性・実現度
  • 開発・保守の体制
  • セキュリティ体制
  • プレゼンテーションの評価

それぞれの項目を解説します。

ベンダーの事業継続性・安定性

ベンダーの事業継続性や財務状況が不安定だと、ベンダーが事業を縮小したり、最悪の場合、倒産したりするリスクがあります。その結果、プロジェクトが途中で頓挫するかもしれません。

たとえプロジェクトが成功しても、システムの運用・保守体制が不安定になる恐れがあります。そのため、ベンダーを選定する際には、事業継続性・安定性を必ず評価項目に含めましょう。

開発実績・得意な分野

ベンダーの開発実績や得意な分野も重要な評価項目です。自社で開発したいシステムと類似したシステムの開発経験があるかを確認しましょう。

基本的な情報は、ベンダーのウェブサイトから確認できます。それだけでは情報が不足している場合は、RFIを活用して詳細な情報提供を依頼するとよいでしょう。

コスト

システム開発コストや運用・保守コストが自社の予算と合致していないと、プロジェクトの継続が困難になる可能性があります。そのため、これらのコストが予算内に収まるか、見積もり額が妥当かを慎重に確認する必要があります。

ただし、コストだけを重視し過ぎて他の重要な要素を軽視するのは危険です。例えば、安価だが品質や機能が劣るシステムを選択すると、業務効率の低下や頻繁なシステム改修などにより、かえって高コストになる可能性があります。コストは判断材料の一つに過ぎないことを忘れず、総合的な視点で評価することが重要です。

要件の網羅性・実現度

要件の網羅性・実現度も必ず評価しましょう。この評価は、プロジェクトの成功に直結する重要な要素です。以下の点に注意して確認します。

  • RFPに記載した要件や課題、機能の網羅性
  • 各要件の実現可能性
  • 実現できない要件がある場合の代替案

すべての要件が満たされていることが理想ですが、技術的制約や予算の問題で実現できない場合もあります。そのような場合、ベンダーが適切な代替案を提示できるかも重要な評価ポイントとなります。

この段階で実現可能性を正確に把握していないと、プロジェクトが途中で中断するリスクが高まります。そのため、各要件について以下を細かく確認・評価することが重要です。

  • 具体的な実現方法
  • 実現に伴うリスクや課題
  • 要件が実現できない場合の影響

これらを丁寧に評価することで、プロジェクトの成功確率を高められます。

開発・保守の体制

ベンダー側の開発体制や保守体制が十分に整っているかどうかは、プロジェクトの成功に直結する重要なポイントです。開発体制の評価では、以下の点を重点的に確認します。

  • 開発チームの人数と役割分担
  • PM(プロジェクトマネージャー)の経歴と能力
  • チーム内外とのコミュニケーション方法

特に、プロジェクト成功の鍵を握るPMの経歴や実績は慎重に評価しましょう。また、システム開発の現場では下請け企業に一部の開発を依頼するケースもあるため、社内の体制だけでなく協力会社も含めた全体的な体制を確認することが重要です。

一方、システム本稼働後の保守体制については、以下の点を詳細に確認し、その妥当性を評価します。

  • 導入後のサポート内容
  • サポートの費用と期間
  • 障害発生時の対応フロー
  • 定期的なメンテナンスの内容と頻度

長期的な運用を見据えた体制が整っているかを慎重に評価し、自社のニーズに合致しているか判断しましょう。

セキュリティ体制

セキュリティ体制の評価は、システムの安全性と信頼性を確保する上で非常に重要です。以下の点を重点的に確認しましょう。

  • セキュリティ認証の取得状況
  • 具体的なセキュリティ対策の内容
  • 開発環境と本番環境のセキュリティ管理方法
  • データ保護の仕組み(暗号化、アクセス制御など)

これらの要素を総合的に評価し、自社のセキュリティ要件を満たしているかを判断します。しっかりしたセキュリティ体制を持つベンダーを選ぶことで、システムの安全性と信頼性を高められます。

弊社Solashiは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しており、厳格なセキュリティ基準に基づいた開発体制を構築しています。高品質で低コストなシステム開発が可能なオフショア開発会社Solashiについてご興味があれば、ぜひこちらからお問い合わせください。

プレゼンテーションの評価

ベンダーのプレゼンテーションも重要な評価項目です。以下のポイントを注意深く観察しましょう。

  • 資料の見やすさと構成
  • 説明の簡潔さとわかりやすさ
  • 質疑応答のスムーズさと的確さ

特に、プロジェクトマネージャーの人となりを観察することが大切です。経歴は書類で確認できますが、経験の豊富さやコミュニケーション能力は実際に会って初めて判断できるからです。

プロジェクトを円滑に進行するには、プロジェクトマネージャーとのコミュニケーションが重要なポイントになります。そのため、プレゼンテーションは提案内容の確認だけでなく、今後の協業を見据えた重要な評価の機会といえるでしょう。

2. 評価項目の配点を決める

評価項目を作成したら、項目ごとの配点を決めましょう。配点を設定することで、ベンダーの評価をより客観的かつ効率的に実施できます。点数は各項目の合計が100点になるように調整することをお勧めします。これにより、集計や比較が容易になります。

また、自社で重視している項目については、点数を高めに設定しておきましょう。たとえば、セキュリティ体制を特に重要視する場合は、その項目の配点を他よりも高くします。配点を工夫することで、自社の優先順位を反映した評価基準を作成できます。結果として、より適切なベンダー選定が可能になるでしょう。

ベンダー選定時の注意点

ベンダー選定プロセスを進める上で、いくつかの重要な注意点があります。これらを守ることで、候補ベンダーとの良好な関係を維持できます。候補から外れてしまったベンダーも、将来的に有益なパートナーとなる可能性があるため、誠実かつ丁寧な対応をこころがけましょう。以下に主な注意点を解説します。

発注の可能性が低い企業に見積もりを依頼しない

1つ目が、発注の可能性が低い企業に見積もりを依頼しないことです。ベンダーを選定する段階では、多くのベンダーから提案を受けておきたくなるでしょう。しかし、発注する気があまりないのに軽い気持ちで見積もりを依頼することは、ベンダーの時間とコストを奪うことになります。

また、依頼した見積もりを確認する作業も発生するため、自社にとっても不要な労力と時間を費やすことになります。これは、選定プロセスの効率を下げ、本来注力すべき候補ベンダーの評価に割く時間を減らしかねません。

そのため、見積もり依頼は真剣に発注を検討している企業に絞っておこなうべきです。

選定から外れたベンダーにも丁重に連絡する

2つ目が、選定から外れたベンダーにも連絡することです。選定から外れたベンダーであっても、今後何らかの形で付き合う可能性があります。丁重に連絡することで、良好な関係を築きやすくなります。言葉を選んでお断りの連絡を入れるようにしましょう。

確かなシステム開発は「Solashi」にお任せください

適切なベンダー選定は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。理想的なベンダーは、技術力だけでなく、あなたの事業を深く理解し、長期的なパートナーシップを築ける存在です。

Solashi Co., Ltd」はIT導入コンサルティングから伴走型支援まで、包括的なサービスを提供しています。お客様の事業目標を綿密に理解し、それを実現するための最適なシステム開発アプローチを提案します。

最新技術への深い知見を活かし、適切なフレームワークやライブラリの選定も可能です。さらに、プロトタイプ開発、本開発という段階的なアプローチにより、リスクを最小限に抑えながら、確実に価値を生み出すシステム開発を実現します。

単なるベンダーではなく、ともに事業成長を目指すパートナーとして、きめ細やかに対応いたします。まずはお気軽にSolashiにご相談ください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

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