オフショア開発は、コスト削減や優秀な人材の確保など、多くの利点があります。一方で、言語や文化の違いによるコミュニケーションの課題、時差の問題、品質管理の難しさなど、注意すべき点もあります。これらのメリットとデメリットを十分に理解し、適切な対策を講じることで、効果的なアプリ開発が可能です。
「オフショアでアプリを開発するメリットを知りたい」
「オフショアでアプリを開発する際の注意点を知りたい」
このような方に向けて、本記事ではオフショアでのアプリ開発におけるメリットや注意点、効果的な進め方について解説します。また、オフショア開発会社を選ぶ際のポイントもご紹介しますので、アプリ開発をお考えの方はぜひ参考にしてください。
島添 彰
合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。
オフショア開発とは
オフショア開発とは、アプリやシステムなどの開発を海外の開発会社に委託することです。昨今のIT需要の増加に伴い、国内ではIT人材の不足が大きな課題となっています。オフショア開発はIT人材を確保する手段として注目されています。
オフショア開発の主な委託先国は、中国やベトナム、フィリピン、ミャンマー、インドなどが挙げられます。これらの国は日本に比べて賃金水準が低く、また優秀なIT人材が多いという特徴があります。
こうした海外の会社に開発を委託することで、コストを抑えながらも質の高い開発を実現できます。開発で必要な技術や人材を確保できるのも特徴です。
オフショア開発の人気国はベトナム
ベトナムは、オフショア開発の委託先として特に人気が高い国です。その理由は主に3つあります。
1つ目は、優秀なエンジニアが多いことです。ベトナムは国を挙げてIT教育に力を入れており、高い技術を持つエンジニアを数多く育てています。
2つ目は、日本との親和性が高いことです。ベトナムは親日国で、日本文化への理解が深く、勤勉で真面目な国民性も日本人に近いため、コミュニケーションが取りやすいのです。
3つ目は、地理的な利点です。日本からの距離が近く、時差も少ないため、現地訪問や定期的なミーティングが行いやすくなっています。
これらの理由から、ベトナムはオフショア開発の委託先として高い人気を得ているのです。オフショア開発.comの2023年度調査によれば、「オフショア開発委託先国別ランキング」でベトナムは1位となっています。
オフショア開発のアプリ開発でかかる費用
オフショア開発は開発費用を低く抑えやすいといわれています。実際にオフショアでのアプリ開発ではどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは、オフショア開発における人月単価とアプリ開発の費用相場について解説します。オフショア開発を検討している方は参考にしてください。
【国別】人月あたりの単価相場
国ごとに人月単価の費用相場をまとめましたのでご覧ください。
国 | プログラマー | ブリッジSE | PM |
中国 | 50.01 | 79.29 | 92.14 |
ベトナム | 40.22 | 57.73 | 79.38 |
フィリピン | 35.83 | 81.25 | 70.83 |
ミャンマー | 27.47 | 68.33 | 97.50 |
インド | 50.83 | 94.29 | 111.43 |
(参照:【2023年最新版】ベトナムオフショア開発の人月単価相場 │オフショア開発. com)
- プログラマー:実際のコード作成を担当し、ソフトウェアの基盤を構築。
- ブリッジSE:日本と現地の橋渡し役で、文化や言語の壁を超えて円滑な開発を支援。
- PM:プロジェクト全体の計画立案から進行管理、リスク管理まで幅広く統括。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事:オフショア開発の費用|国別の単価相場とコストを抑える方法
アプリ開発の開発費用相場
アプリ開発の費用は、アプリの種類や搭載機能、工数などによって変動します。日本の企業に開発を依頼した場合のアプリの種類ごとの開発費用相場は下記の通りです。
- SNSアプリ…500万円~1000万円
- ECアプリ…100万円~300万円
- ゲームアプリ…300万円〜1000万円
オフショア開発ではブリッジSEの人件費なども発生しますが、日本企業に依頼するよりも開発費用を安く抑えられる可能性があります。
「Solashi Co., Ltd」では、ベトナムの高度なスキルを持つエンジニアを厳選して採用しているため、低コストで高品質なアプリを提供することが可能です。お客様のニーズに合わせた最適な開発体制を構築し、費用対効果の高いアプリ開発を実現します。
まずはお気軽にお問い合わせください。
オフショアでアプリを開発するメリット
オフショアでアプリを開発する主なメリットは下記の3つです。
- 開発コストの削減につながる
- 優秀なIT人材を確保できる
- 開発体制を強化できる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
開発コストの削減につながる
オフショア開発の最大のメリットは、開発コストの大幅な削減です。日本では慢性的なIT人材不足により、即戦力の人件費が高騰しています。一方、ベトナムやフィリピンなどのオフショア開発先では、賃金水準が比較的低いため、人件費を抑えることができます。
同じ規模のアプリ開発プロジェクトでも、オフショア開発を活用することで、日本国内での開発よりも安価に進められることが多いです。
このため、オフショア開発は予算に制限のあるアプリ開発プロジェクトにおいて、非常に効果的な選択肢となります。限られた予算で高品質なアプリを開発したい企業にとって、魅力的な解決策といえるでしょう。
優秀なIT人材を確保できる
日本国内では高度なスキルを持つエンジニアの需要が高まり、人材の確保が困難です。一方、海外には最新技術に精通した優秀な人材が多く活躍しています。そのため、オフショア開発を活用することで、IT人材の確保が容易になるのです。
開発体制を強化できる
オフショア開発を活用することで、開発体制を強化できます。その理由は主に2つあります。
1つ目は、日本にない独自の技術やノウハウを活用することで、自社の技術力と開発体制を大幅に向上させられるからです。
2つ目は、長期的な協力関係を築くことでコミュニケーションがスムーズになり、チーム間の信頼関係が深まるためです。
オフショア開発は単なるコスト削減策ではなく、企業の開発力を強化する手段といえるでしょう。
オフショア開発の注意点
オフショア開発には多くのメリットがありますが、同時に注意すべき点もあります。
- 言語や文化の違いがある
- 開発国の情勢に影響を受ける
- 国内よりも品質管理が難しくなる
上記について、対策とあわせて解説します。
言語や文化の違いがある
言語や文化の違いがコミュニケーションの障壁となる可能性があります。コミュニケーションが十分にとれないと、認識の相違が生じてしまい、プロジェクトの遅延や品質低下につながる恐れがあります。
これらの問題を回避するには、以下の対策が効果的です:
- 定期的なミーティングの実施:進捗確認や課題共有で、誤解を早期に発見する。
- コミュニケーションガイドラインの策定:意思疎通の方法を明確にし、誤解を防ぎます。
- ブリッジSEの活用:双方の文化・商習慣を理解しているブリッジSEに、橋渡しをしてもらいます。
これらの対策を適切に実施することで、言語や文化の違いによるリスクを最小限に抑え、円滑なプロジェクト進行が可能になります。特にブリッジSEの役割は重要です。技術力と言語力を兼ね備えた人材が両者の架け橋となることで、より効果的なコミュニケーションが実現できるでしょう。
弊社「Solashi Co., Ltd」では、事業に精通した日本人スタッフが多数在籍しています。ベトナムと日本の言葉・文化を理解しているので、円滑なコミュニケーションが可能です。もしご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。
開発国の情勢に影響を受ける
オフショア開発では、開発国の社会情勢に影響されるリスクがあるため、注意が必要です。具体的には以下のようなリスクが考えられます。
- 政治的リスク:不安定な地域では、デモや政変が発生する可能性があります。
- インフラリスク:通信インフラに問題が生じると、開発作業が停止する恐れがあります。
- 経済的リスク:為替レートの変動やインフレにより、想定以上にコストが増加する可能性があります。
これらのリスクを軽減するためには、開発国の選定が重要です。政治的・経済的に安定した国を選ぶことで、プロジェクトの安定性を高めることができます。
国内よりも品質管理が難しくなる
オフショア開発では、リモートコミュニケーションが中心となるため、細かな進捗確認やテストが不十分になりがちです。そのため、オフショア開発のノウハウがないと、品質を均一に保つことが難しくなります。
これらの課題に対処するには、以下の方法が効果的です
- 定期的な品質レビューの実施
- 詳細な品質基準の設定
- オンラインツールを活用した綿密な進捗管理
さらに、日本人が在籍しているオフショア開発会社を選ぶことで、日本の品質基準を理解した上での管理が可能です。適切な品質管理戦略を立てることで、スケジュールの遅れや品質低下のリスクを軽減し、高品質な開発を実現できます。
オフショア開発会社にアプリ開発を依頼する流れ
オフショア開発会社にアプリ開発を依頼する際は、下記の流れで実施するのが一般的です。
- アプリ開発の目的を明確にする
- 要件定義をできる範囲で実施する
- オフショア開発を依頼する国や開発会社を選定する
- 見積もりを依頼する
- 契約を確認・締結する
- 仕様・機能を細かく決める
- システムを開発する
- システムを運用する
1.アプリ開発の目的を明確にする
まずは、アプリを開発する目的を明確にしましょう。たとえば、下記のようなものが挙げられます。
- 新しい顧客層の獲得
- 業務効率化
- コスト削減
- 新しいサービスの提供
また、この段階でユーザーのニーズやターゲットとなる市場なども明確にします。
これらを開発会社と共有することで、共通の目標に向かって効率的に開発を進められます。また、開発会社からも目的達成に向けた提案も得やすくなるでしょう。
2.要件定義をできる範囲で実施する
開発会社に要件定義を任せることは可能ですが、できる範囲で自社でも実施しておきましょう。自社で要件を整理することで、開発会社とのコミュニケーションがスムーズになり、認識の相違を防げます。完璧でなくても、基本的な要件をまとめることが大切です。
どうしても難しい場合は、ヒアリングやコンサルティングを実施している開発会社を頼るとよいでしょう。
弊社「Solashi Co., Ltd」は、「どのような要件にすべきかよくわからない」というご相談も受け付けています。お客様のニーズや事業から、最適なアプリを提案可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。
3.オフショア開発を依頼する国や開発会社を選定する
オフショア開発を依頼する国と開発会社を選定します。オフショア開発の委託先は非常に多く、開発会社によって得意な分野や開発費用が異なります。
開発会社の選定が、プロジェクトの成功を左右するといっても過言ではありません。開発会社は慎重に選びましょう。
こちらでオフショア開発国の上位7カ国を詳しく解説していますので、よろしければこちらもご覧ください。
関連記事:オフショア開発の最新動向と人気国ランキング!上位7カ国の特徴
4.見積もりを依頼する
アプリ開発を依頼する会社の候補が絞れたら、それぞれに見積もりを依頼します。この際、全ての会社に同じ条件で見積もりを求めると、適切な比較が可能です。
また、単に価格だけでなく、各社の過去の実績や開発後のサポート体制なども重要な判断材料です。これらの情報を総合的に評価し、自社のニーズに最も合った開発パートナーを選びましょう。
5.契約を確認・締結する
開発会社を選定したら、契約の確認・締結をおこないます。トラブルに発展しないように、下記の点は念入りに確認しましょう。
- 契約形態(ラボ型/請負型)
- 仕様変更・修正対応が発生した際の対応
- 追加コストの条件
- 知的財産権の帰属
自社が不利益を被らないよう、契約内容を十分理解することが重要です。不明点があれば、必ず開発会社に確認してから契約を締結しましょう。
6.仕様・機能を細かく決める
契約締結後、開発会社と共に詳細な仕様書を作成します。オフショア開発では、仕様書の正確な翻訳が極めて重要です。
海外では暗黙の了解が通用しないことが多く、仕様書に明記されていない機能は実装されない可能性があります。そのため、細部まで慎重に検討し、明確に記述することが不可欠です。
また、最低限必要な機能や要件をリスト化しておくと良いでしょう。これにより、誤解を防ぎ、期待通りのアプリ開発が可能になります。
7.システムを開発する
開発中は、チームと定期的にコミュニケーションを取り、進捗を確認します。週1回程度のオンラインミーティングを設定し、状況報告や問題点の共有を行いましょう。
チャットツールやプロジェクト管理ツールも活用し、日々の細かい指示や確認をスムーズに行える体制づくりが重要です。改善点や要望は直接伝え、プロジェクトが目的から外れないようにします。
8.システムを運用する
アプリの確認と検証が完了したら、完成したアプリを正式にリリースします。アプリのリリース後も、継続的な運用とメンテナンスが必要です。不具合の修正や新機能の追加、セキュリティアップデートなどを定期的に行います。
そのため、リリース後の運用・保守まで一貫してサポートしてくれる開発会社を選ぶことをおすすめします。また、ユーザーフィードバックを基に継続的な改善を行うことも大切です。開発会社との良好な関係を維持し、長期的な視点でアプリを育てていきましょう。
オフショア開発会社を選ぶ際のポイント
オフショア開発会社を選ぶ際に、確認すべきポイントを4つご紹介します。
- 開発実績
- セキュリティ対策
- コミュニケーションのとりやすさ
- 提案力
順番に解説しましょう。
開発実績
オフショア開発会社を選ぶ際、過去の開発実績は重要な判断基準です。自社のプロジェクトに類似した開発経験があれば、技術的課題や業界特有のニーズに精通していると考えられます。
実績は公式Webサイトや、開発会社の配布している資料などから確認できます。具体的には、過去に開発したアプリケーションの種類、規模、使用技術、開発期間、クライアントの業種などをチェックしましょう。
セキュリティ対策
オフショア開発では、セキュリティ対策が極めて重要です。国や会社によってセキュリティ意識に差があるため、特に顧客情報や開発データの管理体制を慎重に確認しましょう。
ISMS認証の取得は、一定のセキュリティ基準を満たしている証となります。また、データの暗号化、アクセス制御、定期的なセキュリティ監査の実施なども確認ポイントです。
セキュリティ対策が十分でない場合、情報漏洩などのリスクが高まります。自社の機密情報を安全に扱える環境があるか、具体的な対策について聞くことが大切です。
コミュニケーションのとりやすさ
オフショア開発では、言語の壁や時差、文化の違いがプロジェクトの障害となる可能性があります。そのため、日本語対応可能な人材の有無、使用可能なコミュニケーションツール、レスポンスの早さなどを確認しましょう。
特に、日本語と現地の言葉に堪能なブリッジSEの存在は大きな助けとなります。彼らが間に入ることで、認識の齟齬を防ぎ、スムーズなプロジェクト進行が可能になります。加えて、定期的なミーティングの実施や、問題発生時の迅速な対応体制も重要なチェックポイントです。
提案力
優れたオフショア開発会社は、単に指示通りに開発するだけでなく、積極的に改善案や最適な解決策を提案します。このような提案力は、プロジェクトの成功に大きく寄与します。開発過程で予想されるリスクとその対策、コスト削減の方法、より効率的な開発アプローチなどを自主的に提案してくれる会社を選びましょう。
また、最新技術のトレンドや業界の動向に詳しく、それらを活かした提案ができるかも重要です。提案力の高い会社と協力することで、より質の高いアプリ開発が実現し、プロジェクトの価値を最大化できます。
オフショアでアプリを開発するなら「Solashi」まで
この記事では、オフショアでアプリを開発するメリットや注意点、進め方について解説しました。オフショア開発を活用することで、開発コストを抑えられるだけでなく、優秀なIT人材で構成された開発チームを利用できます。
オフショア開発では開発会社選びが非常に重要です。特に、コミュニケーション能力と提案力は極めて大切です。これらの能力が高い開発会社であれば、プロジェクトの円滑な進行と高品質な成果物の実現が期待できるでしょう。
弊社「Solashi Co., Ltd」はベトナムを拠点としたオフショア開発会社です。経験豊富な日本人スタッフとブリッジSEが在籍しており、要件定義などの上流工程から対応できます。事業に精通しているスタッフが、お客様のニーズをもとに最適なシステムを提案いたします。
また弊社では、Webフレームワークを利用した高速なプロトタイピング、アジャイル開発による品質とスピードを両立したアプリ開発を実現できます。ぜひ「Solashi Co., Ltd」までお気軽にご相談ください。
島添 彰
合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。