トップ ブログ

【2024年最新】ものづくり補助金とは?条件や申請手順を徹底解説

【2024年最新】ものづくり補助金とは?条件や申請手順を徹底解説

【2024年最新】ものづくり補助金とは?条件や申請手順を徹底解説

「ものづくり補助金を利用したい」
「ものづくり補助金の申請フローが知りたい」

このように考えている方に向けて、ものづくり補助金の概要や申請手順、対象者や上限金額、補助率を詳しく解説します。

記事の後半では、採択を受けるポイントやものづくり補助金を利用したシステム開発の事例も紹介します。

ものづくり補助金に興味がある方は、ぜひご覧ください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称です。(以下、本記事では「ものづくり補助金」と記載。)

ものづくり補助金は、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構によって中小企業向けに制度化されました。

下記を主な目的として、必要となる設備やシステムへの投資等を支援しています。

  • 人手不足解消に向けたIT等活用による革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化
  • DX・GXの分野をはじめとする革新的な製品・サービスの開発促進
  • 海外事業による国内の生産性向上

具体的に補助の対象となる経費は、下記の通りです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費※
  • 通訳・翻訳費※
  • 広告宣伝・販売促進費※
    (※はグローバル枠のみ)

ここでは、ものづくり補助金の概要を詳しく紹介します。対象者や上限金額、補助率、2024年以降のスケジュールなどを踏まえて解説します。

対象者

ものづくり補助金は、サービス業や小売業、建設業、旅行業をはじめさまざまな業種の事業者が対象です。

ただし、業種ごとに資本金と常勤従業員数の上限が定められています。具体的な数値は、ものづくり補助金の公式HPをご覧ください。

実際の採択事例にも、サービス業や小売業、農業などさまざまな業種の事業者が並んでいます。条件さえ満たしていれば、個人事業主でも応募が可能です。

補助上限額・補助率

(出典:ものづくり・商業・サービス 生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版|ものづくり補助金事務局

上の図は、申請枠と類型ごとの補助上限額と補助率を示したものです。

申請枠には「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の3つがあり、それぞれ補助上限額と補助率は異なります

また、補助事業終了後の3年〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対しては、特例が適用されます。

「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例」として、上乗せされる金額は100万〜2,000万円です。

2024年以降のスケジュール

2020年の公募開始以来、ものづくり補助金は通年で公募をおこなっています。例として、第18次公募のスケジュールを見てみましょう。

(出典:ものづくり・商業・サービス 生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版|ものづくり補助金事務局

第18次公募では、1月末に公募要領が公表され、3月中旬〜3月末が申請受付期間です。

申請者に対する審査がおこなわれたあと、6月下旬頃に補助金交付候補者が発表されます。補助事業実施期間が始まってから、実際に事業を実施した上で実績報告をします。期限は、で12月10日までです。

その後、確定検査を経て補助金の請求となります。このように、ものづくり補助金は申請から支払いまでには約1年以上の期間がかかります。

2024年2月時点でスケジュールが公表されているのは第18次公募までですが、今後も随時更新される可能性があります。

ものづくり補助金の申請を検討している場合は、公式情報を確認しておきましょう

ものづくり補助金を申請するときの注意点

ものづくり補助金を申請するときの注意点を4つにまとめました。

  1. 採択されない可能性もある
  2. 補助事業実施期間内に報告書の提出が求められる
  3. 申請の準備・手続きに手間がかかる
  4. 後払いのためキャッシュフロー対策が必要になる

それぞれを解説するので、ご自身の事業と照らし合わせて確認してみてください。

採択されない可能性もある

まず注意したい点は、採択されない可能性もあることです。

ものづくり補助金事業ホームページ」の公式情報によると、5,606件の応募があった16次公募における採択率は、48.8%となっています

つまり、2,800件を超える過半数の事業者は、申請しても採択されていないことがわかります。

ものづくり補助金に申請したからといって、必ず採択されるものではないことを理解しておきましょう。補助金の受給を前提とした資産管理はリスクが高いため、避けるべきでしょう。

補助事業実施期間内に報告書の提出が求められる

補助事業実施期間内に報告書の提出が求められることにも注意しましょう。

補助事業実施期間内では、発注・納入・検収・支払等のすべての事業手続きを完了し、実績報告書を提出することが定められています

原則期間の延長はできないため、スケジュール管理を徹底する必要があります。

申請の準備・手続きに手間がかかる

(出典:データポータル│ものづくり補助事業公式ホームページ

補助金と聞くと、「とりあえず申請してみよう」と考える方もいるかもしれません。しかし、申請には準備や手間を要する点に留意しましょう。

公式情報によれば、13次〜16次募集のうち事業計画書作成の所要時間でもっとも多いのは「20〜30時間」となっています。また、作成に120時間以上かかった企業も多く存在します。

申請フローの中でも、特に書類申請は手間と労力がかかることを理解した上で、申請する価値があるかどうかを判断しましょう。

後払いのためキャッシュフロー対策が必要になる

補助金は後払いとなるため、キャッシュフロー対策が必要になる点も押さえておきましょう。

先に紹介したスケジュールの通り、実際に補助金を受け取るのは、事業実施期間を経て報告書を提出し、確定検査を受けたあとです。そのため、経費を支払う際には自社の資金から調達する必要があります。

計画の予算に対して資金が足りない場合には、金融機関からの融資を受けるといったキャッシュフロー対策が必要です。

ものづくり補助金の申請手順

ものづくり補助金の申請を検討している方向けに、実際の申請手順を解説します。

  • GビズIDプライムアカウントの登録
  • 必要書類の準備
  • 必要事項の入力
  • データの送信・申請

それぞれ詳しく解説していきます。具体的な流れをわかりやすくまとめているので、参考にしてみてください。

GビズIDプライムアカウントの登録

ものづくり補助金の申請方法は、電子申請のみとなっています(2024年2月時点)。

申請システムを利用するには「GビズIDプライムアカウント」が必要となるので、事前に取得しておきましょう。

「GビズID」とは、法人・個人事業主向けの共通認証システムです。このIDを取得することで、複数の行政サービスにログインすることが可能です。

以下の公式サイトから「GビズIDプライムアカウント」を登録できます。

GビズIDプライムアカウントの取得はこちら

必要書類の準備

続いて、必要書類の準備をおこないます。

具体的な必要書類は以下の通りです。なお、提出内容は更新される可能性があるため、最新の内容は公式情報をご確認ください。

必要書類

  • 事業計画書
  • 事業計画書算出根拠
  • 決算書等
  • 従業員数の確認書類
  • 労働者名簿 
  • 再生事業者※
  • 最低賃金要件に関する確認書※
  • 大幅な賃上げ計画書※
  • 金融機関による確認書※
  • 加点にかかるエビデンス※
    (※は一部の該当者のみ)

上記には、事業者として保有する公的資料以外に、ものづくり補助金の申請に際して新たに作成が必要な書類もあります

電子申請の際には、PDF形式のファイルを添付し提出することとなります。

申請フローの中でも、書類作成はもっとも労力と時間のかかる作業です。申請を決めたら、スケジュールに余裕をもって準備することをおすすめします。

必要事項の入力

書類の準備を終えたら、GビズIDプライムのアカウントで申請します。公募要領の内容を改めて確認し、各指定項目を入力しましょう。

入力に必要な情報としては、下記があります。

入力に必要な情報

  • 事業者情報
  • 経費明細
  • 事業計画名、事業計画書の概要
  • 補助経費に関する誓約書
  • 賃金引上げ計画の誓約書
  • 最低賃金要件に関する確認書※
    (※は一部の該当者のみ、かつPDFによる資料提出も可)

なお、システムの利用方法がわからない場合は、電話によるサポートを受けることも可能です。

ものづくり補助金の電子申請、電話サポートはこちら

データの送信・申請

必要事項の入力を終えたら、申請内容に間違いがないかを確認し、データの送信をおこないます。申請書類や入力項目に不備がないよう注意しましょう。

ものづくり補助金で採択を受けるためのポイント4つ

ものづくり補助金で採択を受けるためのポイントを、4つに絞って解説します。

  1. 審査項目の要件を適切に盛り込む
  2. 加点項目・減点項目を把握する
  3. 事業効果をわかりやすく明示する
  4. 書類作成は専門家に依頼する

それぞれ詳しく解説するので、参考にしてみてください。

ものづくり補助金で採択を受けられる割合は、5割弱であるとされています。ポイントを押さえて採択される確率を上げましょう。

審査項目の要件を適切に盛り込む

ものづくり補助金は、定められた「要件」を満たす事業者が利用できる制度です。

そのため、審査項目として判断基準となる要素を十分に理解した上で、提出書類に適切に盛り込むことが重要なポイントとなります。

例えば、ものづくり補助金の事業目的の一つに「事業の革新性」が設定されています。しかし、世界的なニュースになるほどの発明や斬新さが求められているかといえば、そうではありません。

同業の中小企業でまだ普及していない、顧客に新たな価値を提供できる製品・サービスの開発であれば、支援対象になり得ます。

まずは公募要領をしっかり読み込み、どのような要素がどのレベルで求められるのかを理解しましょう。参考として、具体的な採択事例を調べてみるのもよいかもしれません。

加点項目・減点項目を把握する

ものづくり補助金では、「加点項目」と「減点項目」がそれぞれ設定されています。採択率を上げるために、できれば設けられた申請上限数の加点項目に対応することが理想です

また、減点項目も念のため把握しておきましょう。以下で、加点項目と減点項目の詳細を解説します。

加点項目について

加点項目の大枠の分類は下記の通りです。

加点項目

  • 成長性加点 
  • 政策加点
  • 災害等加点
  • 賃上げ加点等
  • 女性活躍等の推進の取り組み加点

これらをさらに細分化した複数の加点項目が設定されています。第18次公募では、最大6項目の加点申請が可能です。

申請を有利に進めるためには、申請前の段階から加点項目を把握し対応するようにしましょう。

減点項目について

一方、減点項目は下記の通りです。

減点項目

  • 応募締切日から過去3年間に、類似の補助金の交付決定を1回受けている
  • 令和元年度補正予算ものづくり補助金以降に交付決定を受けており、収益納付をしていない

なお、類似の補助金交付決定が過去3年間で2回以上におよぶ場合は、申請対象外になります。

事業効果をわかりやすく明示する

事業効果をわかりやすく明示することもポイントです。数値を用いた客観的な根拠の提示や、グラフや図を用いた効果の可視化など、説得力のある資料作成を心がけましょう。

例えば、システム開発をおこなう場合、システムの導入前後の数値を比較して示すことで、事業効果をわかりやすく伝えられます。

また、なぜその事業効果が見込まれるのか、具体的な根拠も用意しましょう。統計データの活用はもちろんのこと、ユーザーの生の声を分析したり、顧客アンケートで独自に数値化したりするのも効果的です。

書類作成は専門家に依頼する

もっとも負担の大きい書類作成は、知見を持つ専門家に依頼するのも一つです。

ものづくり補助金は、必ず採択を受けられるとは限りません。書類作成に追われてコア業務に専念できなくなってしまっては、本末転倒です。

自社で作成が難しい場合は、コンサルティング会社や専門家へ依頼することをおすすめします。申請代行に必要な資格は特にないため、実績や口コミを参考に選ぶとよいでしょう。

弊社「Solashi Co., Ltd」でも、申請代行をおこなえるよう、さまざまな会社をご紹介しております。是非お問い合わせください。

依頼先の例

  • 中小企業診断士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 公認会計士

注意点として、事業計画書の作成に支援を受けた場合は申告が必要です。申請画面の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に、支援者を明記しましょう。

ものづくり補助金を利用したシステム開発の事例

ものづくり補助金を利用したシステム開発の事例を紹介します。

  • 人材派遣のマッチングアプリ・システム開発
  • コンシューマー向け多言語遠隔通訳サービスの開発
  • 業務委託料前払いサービスのシステム開発
  • ワンストップ型クラウド型人事制度システムの開発・販売

人材派遣のマッチングアプリ・システム開発

人材派遣のマッチングアプリ・システム開発の事例です。

こちらは、ベトナムのオフショア開発会社である弊社「Solashi Co., Ltd」が、実際に携わったプロジェクトです。

1日単位の短期派遣のマッチングシステム・アプリの開発に携わりました。それまでクライアントは、社内にエンジニアがおらず、人材派遣業務を手動でおこなっていました。

開発会社に業務のシステム化を依頼しましたが、製品面でのトラブルが起こります。IT投資をした結果、稼働しないシステムが完成しました。

そこで弊社にご依頼をいただき、アプリの根幹からシステムを作り直すことになったのです。開発環境や開発フローを整える施策の一環として、ものづくり補助金の申請をおこないました。

弊社も申請の一部を代行し、連携業者と一緒に進めました。そして、クライアントは申請業務の内容に責任を持つことで、プロジェクトが進んでいます。

採択が決まった結果、十分な開発予算をもとに開発が進み、アプリのリリースを実施できました。

【概要】

都道府県 東京都
事業計画内容 語学を活かして1日から働けるアプリの開発
業種人材、イベント、マーケティング
実施年度2023年〜2024年

コンシューマー向け多言語遠隔通訳サービスの開発

コンシューマー向け多言語遠隔通訳サービスの開発の事例です。

法人向けに展開していた遠隔通訳サービスの、コンシューマー向け新サービスを開発しました。

個人向けにするにあたり、フローのペーパーレス化や自動化、決済方法の見直し、システムの多言語対応など利便性を高めました。

訪日外国人旅行者の受入環境を整備する事例として、注目されています。

【概要】

都道府県 東京都
事業計画内容 コンシューマー向け「多言語遠隔通訳サービス」の開発
業種その他の事業サービス業
実施年度2016年

業務委託料前払いサービスのシステム開発

業務委託料前払いサービスのシステム開発の事例です。運送ドライバー(個人事業主)に向けた、業務委託料の前払いサービスの開発を実現しました。

軽貨物運送業界では、請負い構造によって支払いサイトが60日にもおよぶことがあります。こうした資金繰りの厳しさが、ドライバーの定着や新規参入の妨げとなっていました。

前払いサービスシステムは、ドライバー不足の問題解決の一助になると考えられます。

【概要】

都道府県 神奈川県
事業計画内容 業務委託料前払いサービスのシステム開発
業種インターネット附随サービス業
実施年度2018年

ワンストップ型クラウド型人事制度システムの開発・販売

多くの中小企業で人事制度の運用が適切ではないことを背景に、ワンストップ型クラウド人事制度システムを開発しました。

等級制度や賃金制度の策定、管理、運営から制度のテンプレート保存機能などを備え、他社の既存システムとの差別化を図りました。

適切かつ効率的な制度運用を実現する人事制度システムは、社員の意欲・能力の向上にも貢献し業績アップが期待できます。

【概要】

都道府県 静岡県
事業計画内容 誰もが運用しやすいワンストップ型クラウド型人事制度システムの開発・販売
業種専門サービス業(他に分類されないもの)
実施年度2019年

システム開発なら「Solashi」へご相談を

ものづくり補助金をテーマに記事をお届けしました。

ものづくり補助金の申請にはそれなりの労力と時間がかかりますが、採択の余地がある場合は積極的に活用したい制度です。事前に要件を把握して、早い段階から準備を整えましょう。

ベトナムのオフショア開発会社である「Solashi Co., Ltd」でも、実際にものづくり補助金が採択されたプロジェクトに携わっています。

ものづくり補助金を活用し、システム開発の戦略策定から保守・運用までを包括的にご支援することが可能です。

弊社には、事業立ち上げやスタートアップ案件を担った経験のある日本人PMが複数名在籍しています。ITプロジェクトの進捗管理やシステム開発の技術に精通したメンバーも揃えております。

新規事業立ち上げを検討中の方はもちろん、既存のアウトソーシング先から別の委託先を探されている場合にも対応可能です。

システム開発でパートナー会社を探されている方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」までお問い合わせください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

お知らせ一覧