「初めて依頼するので、会社選びに失敗をして、トラブルが起きないか心配」
このような方に向けて、オフショア開発会社の選び方をわかりやすく解説します。
自社にオフショア拠点がない場合、パートナーとなるオフショア開発会社の選定は、プロジェクトを成功させるための重要なステップの一つです。
本記事では、オフショア開発会社の具体的な選定手順や選び方のポイント、各オフショア開発国の特徴もご紹介します。
島添 彰
合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。
オフショア開発会社を選定する4つのステップ
オフショア開発会社を選定する主な流れは、以下の通りです。
- 依頼内容の整理
- オフショア開発の国・会社の調査
- 複数社の見積もりを取り比較検討
- 選定した会社と契約を締結
依頼内容の整理
まずはオフショア開発の目的やゴールを明確にして、依頼内容を整理しましょう。
今回開発したいシステムやアプリにはどういった役割があるのか、何をビジネスの目標に設定するのかをはっきりさせます。
プロジェクトを円滑に進められるよう、はじめの段階で詳細まで決めておくのがポイントです。少なくとも、以下の項目は委託先の選定前に決定できるとよいでしょう。
- 開発するシステムの種類
- 予算
- スケジュール
- 品質基準
どれくらいの予算でIT投資をおこなうかは、「オフショア開発の費用|国別の単価相場とコストを抑える方法」でご確認ください。
オフショア開発の国・会社の調査
オフショア開発が可能な国や会社を調査します。
先に決めた依頼内容をもとに、自社の条件に合う国や会社の目星をつけてリストを作成しましょう。
国選びの段階では、特にこだわりがなければメジャーな国の中から比較検討するとよいでしょう。開発国ごとの詳しい特徴は後述するので、そちらも参考にしてみてください。
具体的な会社の探し方としては、Web上で依頼内容をキーワードに検索しヒットした会社をリサーチする方法や、オフショア開発専門のマッチングサイトを活用する方法などがあります。
関連記事:「オフショア開発の最新動向と人気国ランキング!上位7カ国の特徴」
複数社の見積もりを取り比較検討
リストアップした会社に対して、見積もりを依頼します。
いきなり1社に絞り込むのではなく、並行して複数社からの見積もりを取り、価格や内容を比較検討しましょう。
まずは3〜4社と商談してみて、条件に合った会社が見つからなければほかの会社も検討してみるとよいでしょう。
選び方の詳細は後述しますが、主に以下のポイントに着目してみてください。
【比較のポイント】
- 開発コスト
- 企業規模
- 実績
- 提案内容
- 技術力
- 対応言語(日本語・英語対応の有無)
- プロジェクトの管理体制
- 契約内容
上記をエクセルやスプレッドシートなどで一覧にまとめておくと、社内での共有時にも比較しやすくなりおすすめです。
選定した会社と契約を締結
比較検討を経て、最終的にはもっとも適した1社に絞り込みます。
依頼の範囲や納期、品質保証、支払い条件などの詳細を事前に固めたうえで契約を締結しましょう。
不明な点がある場合は、トラブルを避けるために契約前の段階で必ず確認します。
また、オフショア開発の契約形態は請負型とラボ型に大きく分かれます。
請負型では、事前に決めた要件や発注内容、納期に沿って成果物が納品されるため、発注後は成果物の確認以外の作業は基本的に発生しません。
社内リソースを割かずに済む契約形態ですが、発注後の仕様変更は別請求となるため注意が必要です。
一方、ラボ型では一定の期間や人月に対して契約を結ぶことになります。
月額費固定でサービスが利用でき、決められた工数内で自由にリソースを活用できます。変動費でも開発ができるため、状況に応じてリソースを調整しやすいのがメリットです。
優秀なIT人材を一定期間確保して、中長期的なプロジェクトを進められます。
発注後の仕様変更が可能ですが、契約期間中に仕様を詰めたり都度スケジュールを調整したりする業務が発生します。
それぞれの特徴を理解したうえで、依頼内容や状況に応じて自社に合った契約形態を選びましょう。
オフショア開発会社を選ぶ6つのポイント
オフショア開発会社を選ぶ6つのポイントを解説します。
- 実績
- 得意領域・技術レベル
- 日本語によるコミュニケーションスキル
- 品質の管理体制
- トラブル発生時のリカバリ体制
- 提案力
実績
検討中のオフショア開発会社の実績をチェックしましょう。
単純な受注数だけでなく、依頼内容に類似する実績の有無や、自社と同様の業界・業種の案件実績も確認するのがおすすめです。
また、会社のホームページではわからない情報もあるため、気になる点があれば商談時に質問し正確な情報を入手しましょう。
商談時には、システム開発の知見がある社員の同席をおすすめします。
オフショア開発会社側に「この部分のコードは見せてもらえるか」「この事例でのプログラムはどうやって作ったのか」などを質問すると、オフショア開発会社のレベルや専門性、自社との親和性が確認できるでしょう。
得意領域・技術レベル
オフショア開発会社ごとに得意領域や技術レベルは異なるため、依頼内容に応じて自社との相性を見極めましょう。
一口にオフショア開発といっても、サイトやアプリ・Webサービスの制作、 AI 、IoT など分野は多岐にわたります。
また、UI・UXデザインに優れている、ITコンサルティングや戦略策定を得意とするなど、会社ごとに強みも異なります。
どのような分野に明るく、強みがあるのかをリサーチすることで、自社とのマッチ度合いを推測しやすくなります。使用している開発言語やフレームワークもチェックできるとよいでしょう。
日本語によるコミュニケーションスキル
開発会社の日本語によるコミュニケーションスキルもチェックしましょう。
英語や現地の言語でプロジェクトを進行するオフショア開発会社も中にはあります。他国語でのコミュニケーションに不安を感じる場合、日本人PMや、日本語が堪能なブリッジSEに現場を任せることが理想です。
表向きには「日本語対応でシステム開発ができる」と謳っていながら、日本人担当者は窓口のみのケースもあるので注意しましょう。
また、普段日本語による会話はスムーズでも、システムの話になったとたん会話が成り立たなくなることもあるようです。
可能なら商談時にプロジェクトの担当者に参加してもらい、口頭での打ち合わせがスムーズにできるかを試してみてください。メールやチャットなどの対応も問題がないか、実務に近い状態でコミュニケーションレベルを確認できるとよいでしょう。
ベトナムでオフショア開発をおこなう弊社「Solashi Co., Ltd」では、お客さま窓口の言語は100%日本語でおこなっています。
日本人PMや日本語を扱えるブリッジSEが在籍し、日本人との業務経験を多く積んでいるため、言語の壁のない商談や相談をしていただけます。
品質の管理体制
オフショア開発会社が、どのように品質管理をおこなっているのかも確認しましょう。
品質管理を怠ると、バグやエラーの発生につながり、プロジェクトの深刻な損害に発展することがあります。
オフショア開発では、要件定義が曖昧なままの場合や、ディスコミュニケーションが生じた場合に納品物の品質が低下することがあります。
- 明確な品質目標値の設定があるか
- QAエンジニアによるテスト工程があるか
- ディスコミュニケーションの対策を取っているか
上記のような項目で、品質管理体制に問題ないかをチェックしましょう。
トラブル発生時のリカバリ体制
バグの発見をはじめ、トラブル発生時にどのような対処を取っているかも重要です。
リカバリ・対処にかかる費用が見積もりに含まれているのかも確かめておきたいポイントです。
開発中に想定されるトラブルやリスクを加味したうえで、仮にトラブルがあった際に最後まで対応してもらえるのか、リカバリするための費用が追加でかからないのかなど、具体的な体制を事前にすり合わせましょう。
提案力
提案力があるオフショア開発会社を選びましょう。
オフショア開発会社は、もともとは委託作業を担う下請け会社として成長を遂げてきました。
下請け会社は、元請け会社の提示通りに仕事をこなせるかが重視されます。そのため中には能動的な提案を強みにしていない会社も含まれているかもしれません。
しかし、ただ成果物を納めるのではなく、よりよいプロダクトを完成させるためには、提案力がある会社を選ぶことが大切です。
自社が実現したいことやIT・DX化の課題を適切にヒアリングし、どのような事業展開を目指しているかまで理解したうえで提案してくれる会社を選びましょう。
弊社「Solashi Co., Ltd」では、日本のスタートアップ企業で、CTOを務めていたプロジェクトマネージャーが複数人在籍中です。
事業内容をお伺いし、必要となるITサービスや類似事例を踏まえてコンサルティングをおこなっています。
事業立ち上げの順序や難易度に応じて開発のアウトラインをご提案しているため、具体的な開発イメージをすぐに掴んでいただけます。
コンサルティングをご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
オフショア開発国の特徴と選び方
プロジェクトをスムーズに進めるためには、オフショア開発国の選定も重要です。
オフショア開発国の中でも特にメジャーな以下の4カ国の特徴をご紹介します。どのような場合に委託先として適しているのかも言及します。
- ベトナム
- インド
- 中国
- フィリピン
ベトナム
ベトナムは、比較的コストパフォーマンスがよいオフショア開発国として知られています。
TopDevの「Vietnam IT Market Report 2023」によると、2023年のベトナムのIT人材の人口はおよそ53万人にものぼります。
(参照:Vietnam IT Market Report 2023 - Vietnam Tech Talents Report│TopDev)
ITスキルの高い技術者がいるほか、日本企業での実績も多く、オフショア開発先としておすすめできる国の一つです。
オフショア開発諸国の中でも比較的単価が安いため、コストを抑えながら優秀なリソースを確保し、高品質なシステム開発を依頼したい方には最適でしょう。
詳しくは「オフショア開発ならベトナムが最適な理由8つと優良な会社の選び方」をご覧ください。
インド
インドもIT大国として知られている国の一つです。
人件費はほかのオフショア開発諸国と比較するとやや上昇傾向にあるものの、人口が多いことから実力のあるエンジニアがたくさんいます。
日本語を話せる人材は少ないですが、ブリッジSEや通訳を介して日本語や英語によるコミュニケーションが可能です。
インドのオフショア開発会社は対応領域が広く、業界や案件を絞らずにおすすめできる開発国です。大規模な案件で、高技術なスキルを求める会社に向いているでしょう。
中国
中国の人件費は昨今のGDP上昇に伴い、沿岸部をはじめ各地で高騰気味となっています。
中国のオフショア会社は、IT大国としての高度なスキルが確立されているのが大きな魅力です。ただし、日本人との国民性の違いには注意をしましょう。
品質の悪さの責任を発注側に求めるケースもみられるようです。すべての会社に当てはまるわけではないため、相互理解に努めた対応をしてくれる会社を選ぶことがポイントです。
フィリピン
フィリピンは平均年齢が若く、英語が通じやすい国です。公用語として約5,000万人もの人が英語を話します。
また、外資系の会社に勤務する人口も多く、グローバルな環境で働くことに慣れている人材が多いのも特徴の一つです。地理的に近く日本との時差は一時間なので、業務時間の調整にも困りません。
コストも比較的リーズナブルで、英語中心のコミュニケーションを取りたい会社におすすめの開発国です。
オフショア開発会社選びでよくある失敗と対策
オフショア開発会社選びでよくある失敗を押さえて、対策につなげましょう。特に気をつけたいポイントは以下の通りです。
- 規模が小さい案件はコスト高になる
- オフショア開発会社にすべてを任せてしまう
- コストを優先してしまう
規模が小さい案件はコスト高になる
オフショア開発選びでは、規模が小さすぎる案件はおすすめできません。
例えば、1ヶ月未満で終わるような案件を依頼すると、結局説明コストが高くなります。本来のゴールを達成するために必要なリソース以外のところで、労力がかかります。その結果、納期が遅くなるリスクも否めません。
したがって、一定規模のプロジェクトをご依頼ください。目安は7~8ヶ月、400万~500万円のプロジェクトに対応できるオフショア開発会社を選定していきましょう。
オフショア開発会社にすべてを任せてしまう
プロジェクト全般を通していえることですが、業務内容の丸投げは失敗につながります。
オフショア開発会社に自社の目的や事業内容を理解されないまま案件が進行すると、期待している実装内容と実際の納品物にギャップが生まれます。
プロジェクトの成功には、設計段階から開発意図や目的と乖離していないかを擦り合わせる必要があります。
問い合わせや相談の時点で、なぜこの開発をするのか、実現したいことは何かを明確に伝えるようにしましょう。重要な打ち合わせには、専門知識のある技術者も同席することをおすすめします。
コストを優先してしまう
3つ目はコストのみを優先してしまうケースです。
見積もりが安いという理由だけで安易に委託先を選んでしまうと、品質の低い成果物が納品されたり、納期トラブルが発生したりする恐れがあります。
オフショア開発会社によっては、実績やITスキルが不足しているところもあります。見積もりの段階では安く思えても、実際の費用対効果は悪くるかもしれません。
委託先を見誤らないためには、事前のリサーチで開発市場全体の予算感を把握しておくことが肝要です。
ただ低コストで開発するのではなく、適切なリソースを有し高品質な成果物を仕上げることを前提とし、そのうえでコストパフォーマンスのよい開発をしてくれる会社を見極めましょう。
オフショア開発会社選びで失敗したくないなら「Solashi」まで
オフショア開発の会社選びは、プロジェクトの成功を左右する重要な第一ステップです。
入念なリサーチのもと、複数社を比較検討したうえで自社にもっとも適した会社を選ぶようにしましょう。
弊社「Solashi Co., Ltd」には、事業立ち上げやスタートアップ案件を担った経験のある日本人PMが複数名在籍しています。ITプロジェクトの進捗管理やシステム開発の技術に精通したメンバーを揃えております。
日本語が堪能なブリッジSEも開発をサポートし、現地のエンジニアに対して希望の詳細や細やかな指示を翻訳して伝達しますので、ギャップを感じずに安心してご依頼いただけます。
新規事業立ち上げを検討中の方はもちろん、既存のアウトソーシング先から別の委託先を探されている場合にも対応可能です。オフショア開発でパートナー会社を探されている方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」までお問い合わせください。
島添 彰
合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。