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システム開発のコスト削減方法は?開発費の算出方法・内訳も解説

システム開発のコスト削減方法は?開発費の算出方法・内訳も解説

システム開発のコスト削減方法は?開発費の算出方法・内訳も解説

システム開発では、要件定義や設計、運用保守などの工程があり、各工程でさまざまなコストが発生します。

開発を進める際に予期せぬトラブルが発生すると、対応作業に追われたり決められた予算以上のコストが発生したりする場合もあります。

システム開発のコスト管理を担っている担当者は、「プロジェクトを円滑に進めるために、できる限り無駄なコストをなくしていきたい」と考えているのではないでしょうか。

そこでこの記事では、システム開発のコスト削減方法を紹介します。

システム開発費の算出方法や内訳など、コストを削減するために必ず理解しておくべき情報もまとめました。システム開発のコスト削減を検討している方は参考にしてください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

システム開発の主なコストと具体例

はじめに、システム開発で発生するコストの種類を見ていきましょう。システム開発で発生する主なコストは大きく下記の3つに分けられます。

  • システム開発費
  • プロジェクト管理費
  • その他の間接費

それぞれの内容を解説します。

システム開発費

システム開発費とは、システム開発の作業でかかる人件費のことです。

システム開発では、設計やプログラミング、テスト、ドキュメント作成など多くの業務があり、エンジニアやプログラマーがこれらを分担しながら開発を進めます。開発規模が大きくなるほど、メンバーの作業量が増えるため、システム開発費は増大します。

また、システム開発費はエンジニアのスキルや役職、所属する会社の規模などの要素によっても変動するのが特徴です。

プロジェクト管理費

プロジェクト管理費とは、プロジェクト管理者が、全体の進捗管理や品質管理のマネジメントをする際にかかる人件費のことです。

プロジェクトを円滑に進めるにはエンジニアだけではなく、システム開発全体の管理業務をおこなう人材も欠かせません。

管理業務では、タスクやスケージュールの進捗管理だけではなく、品質を担保する品質管理、変更要求に応える変更管理をすることが求められます。これらの業務を遂行するための人件費が必要です。

システム開発費と同じようにプロジェクト管理費も、プロジェクトの規模によって変わります。さらに、プロジェクトの難易度によっても管理すべき内容や開発工数が左右されるため、プロジェクト管理費は変動します。

その他の間接費

その他の間接費とは、オフィスの賃貸料や機器の購入費・レンタル料、プロジェクトに携わる人々の交通費などを指します。

また、トラブルが発生したときに備える予備費用も間接費に含まれる場合があり、プロジェクトの内容や形態によって該当するものはさまざまです。

そのため事前にかかる費用を明確にし、無駄なコストをかけないようにすることが、プロジェクト成功に欠かせません。

システム開発コストの内訳

システム開発は下記の流れでおこなうのが一般的であり、各段階でさまざまなコストが発生します。

  1. 要件定義
  2. 設計
  3. 開発
  4. テスト
  5. デプロイ・導入
  6. 運用・保守

ここでは、システム開発で発生するコストの内訳を詳しく説明します。

また、プロジェクト全体に占める費用の比率も目安として紹介します。開発内容によって比率は変動するため、あくまでも参考としてご覧ください。

要件定義費用

要件定義費用とは、システム開発の初期段階である、要件定義のフェーズでかかる費用のことです。

要件定義のフェーズでは、システムの目的や開発の方向性、実装する機能、納期、予算などを明確にすることを目的としています。

要件定義費用は、基幹システムの規模や複雑さによって変動しますが、開発費全体の5%~10%程度が目安です。

なお海外にシステム開発を委託するオフショア開発では、最大20%くらいになることがあります。これは日本人コンサルタントが要件定義を実施することがあるためです。人材の単価が影響するだけでなく、開発単価が日本よりも安価になることも関係しています。

要件定義をおこなうのは基本的に発注側の会社です。開発会社に委託する場合にのみ、要件定義費用が発生します。したがって、必ずしも見積りに組み込まれる項目ではありません。

関連記事:システム開発の要件定義とは?進め方やポイントをわかりやすく解説

設計費用

設計費用とは、システム開発の設計段階で発生する費用のことです。設計のフェーズには以下の2つがあります。

基本設計システム全体の構造や概要をまとめる
詳細設計実装方法やデータ構造などの情報をまとめる

この設計段階でシステムの詳細情報を整理することは、システム開発全体の品質や効率につながります。

設計費用は、開発費全体の10%~20%程度を目安に計算されるケースが一般的です。

開発費用

開発費用とは、システム開発の主要な開発フェーズで発生する費用のことです。

開発のフェーズでは、設計に基づいてコードを書いたり、システムやアプリケーションを稼動させるための機能を実装したりなど、さまざまな作業をおこないます。

開発費用には、エンジニアやプログラマー、デザイナーなどの人件費が含まれています。開発費の目安は、プロジェクト全体の40%〜50%以上を占めるケースが一般的です。場合によっては60%になることもあります。

テスト費用

テスト費用とは、システム開発のテスト段階で発生する費用のことです。

テストのフェーズでは、開発されたシステムが正常に動作するかの確認がおこなわれます。これにより、システムの品質を向上させたり、システムエラーやバグを防止できたりします。

プロジェクト全体に占めるテスト費用の割合は、5%〜15%程度が一般的です。

導入費用

導入費用とは、システム開発のデプロイ・導入段階で発生する費用のことです。デプロイ・導入のフェーズでは、以下のことがおこなわれます。

  • テスト工程をクリアしたシステムを現場に提供する
  • 利用者に、システムの操作方法や利用する際の注意点を説明する

それに伴い、システムのインストールや設定、ハードウェアやソフトウェアのライセンス費用などさまざまな費用がかかります。導入費用の目安は、プロジェクト全体の5%~10%程度です。

運用・保守費用

運用・保守費用とは、システムがリリースされた後に発生する費用のことです。

たとえば、システムの監視や日常的なメンテナンス作業、システム障害が発生した際の対応、システムの改善・提案などの費用が該当します。運用・保守費用は、プロジェクト全体にかかる費用の5%~15%が目安です。

ただし、運用・保守費用は継続的に発生する費用であるため、長期間に渡り運用する中で変動することも考えられます。

たとえば、時間とともに要件が変わり、機能の追加をするような場合は別途開発のお見積りをすることがあります。

システム開発コストの算出方法

システム開発ではさまざまなコストが発生し、その中でも大半を占めているのがシステム開発費です。その大半を人件費が占めます。システム開発の人件費は、以下の計算式で算出できます。

  • システム開発の人件費=人月(にんげつ)×人月単価×開発期間

人月とは、開発作業に必要な1ヶ月間の人員のことです。たとえば、あるシステムを開発する際に1ヶ月で5人のメンバーが必要な場合は、「5人月」となります。

人月単価とは人員1人あたりの月単価のことです。そして開発期間はシステムの開発にかかる期間を指します。

たとえば、エンジニア5名で人月単価が1人あたり50万円で開発に3ヶ月かかる場合、システム開発の人件費は以下の通りです。

  • 5人(人月)×50万円(人月単価)×3ヶ月(開発期間)=750万円

システム開発のコストが増大する4つの要因

システム開発のコストは、下記の要因で増大するケースが多く見られます。

  1. 開発期間が長くなる
  2. テスト工程が多い
  3. デバイスごとに開発作業を実施する
  4. 見積り・要件の認識合わせが不足する

ここでは、システム開発のコストが増大する要因を見ていきましょう。

開発期間が長くなる

開発期間が延びれば延びるほど、システム開発のコストは増大します。システム開発では、追加の開発作業や設計作業が発生するケースは珍しくありません。

追加の作業が発生することで開発期間が長引き、予定していた工数を増やさざるをえなくなった結果としてコストが増大します。

システム開発のコストを抑えるには、コストが増大するケースを想定して開発スケジュールを組むことや、要件定義の詳細を事前に詰めておくことが有効です。

無駄なテスト工程をおこなう

システム開発の工程全体で、テスト工数は30%ほどの割合を占めます。テストのコストが増える主な要因は以下の通りです。

  • テストスコープ自体がズレている
  • テスト工数が実装量に見合わない
  • テスト数が不十分でバグを検出できない

無駄なテストの解決策の一つとして、テストを自動化・最適化するテストツールを使用すれば、コスト削減につながるでしょう。

デバイスごとに開発作業を実施する

システムやアプリケーションを利用する際のデバイスは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまです。

各デバイスごとにシステム開発をおこなう場合、デバイス数に比例して開発費も増大します。

コストの削減には、CMSでシステムのデータや画面、コンテンツなどを一元管理するのが効果的です。

アクセスしたデバイスに対応したレイアウトを表示させられるので、デバイスごとに開発作業を実施する必要がありません。

見積り・要件の認識合わせが不足する

要件定義の前後で開発規模が拡大することは、決して珍しくありません。具体的には以下の要因が挙げられます。

  • 提案時に認識できなかった情報が多く追加される
  • 自社の業務領域の特性に合致していないシステム構築方式を採用し、大半の機能のカスタマイズが必要になる
  • システム開発のゴールが曖昧になっている

システムを企画するときに各フェーズの目的を定義しておかなければ、追加作業が発生し、コストの増大につながる可能性があります。

システム開発のコストを削減する3つのポイント

システム開発のコストを抑えるためには、下記のポイントを意識することが重要です。

  1. 必要な情報を整理した上で要件定義をおこなう
  2. 適切なスキルを持ったメンバーをアサインする
  3. プロジェクト管理を効率化する

それぞれのポイントを詳しく説明します。これから紹介するポイントをきちんと理解し、コスト削減に向けて取り組みましょう。

必要な情報を整理した上で要件定義をおこなう

システム開発を進めるには、まずは以下の情報を整理する必要があります。

  • 社内の誰が、どのような形でシステムを使うのか
  • どのような環境でシステムを利用するのか
  • 既存のシステムがあるか、現在はどのように使われているのか
  • 将来的にシステムを拡張する予定があるか

情報が整っていないと追加作業や大規模な修正が必要になり、想定していなかったコストが発生するかもしれません。

また機能を追加したものの使うタイミングが少ないために、開発コストが無駄になるケースも考えられるでしょう。

これらの情報を最初に整理することで、自社で解決したい課題や必要な機能、不必要な機能が明確になります。

その上で要件定義をおこないましょう。システム開発の方向性が明確になることで、コストを削減しやすくなります。

適切なスキルを持ったメンバーをアサインする

開発チームのメンバー編成も、開発コストに大きく影響します。

不得意な業務を担当した場合、作業効率が落ちて完了させるまでに時間を要するため、コストの増大につながりやすくなるでしょう。

各フェーズごとに適切なスキルを持ったメンバーを配置してメンバーの役割を明確にすることで、チーム全体の開発効率や開発スピードを向上させられます。

プロジェクト管理を効率化する

システム開発のコストを削減するためには、プロジェクト管理の効率化も大切なポイントです。

急な変更や問題発生時に対応するため、適切なスケジュール管理やリスク管理をおこなう必要があります。

プロジェクト管理を効率化するには、プロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールなどの利用がおすすめです。

これらのツールを活用し、プロジェクト管理をスムーズにおこなうことで開発期間を短縮でき、結果としてコスト削減につながるでしょう。

システム開発のコスト削減方法

システム開発費のコストを抑えるには、補助金やオフショア開発などを活用するのがおすすめです。

ここでは、システム開発で活用できるおすすめの補助金と、オフショア開発の特徴を解説します。

補助金を活用する

システム開発を対象とする補助金を活用すれば、開発コストを抑えやすくなります。たとえば、以下の補助金はシステム開発も対象に含まれているため非常におすすめです。

  1. ものづくり補助金
  2. IT導入補助金
  3. 小規模事業者持続化補助金
  4. 事業再構築補助金

以下で内容を見ていきましょう。

1.ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上を目的とした、サービス開発や生産プロセスの改善を支援する補助金です。正式には、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といわれます。

詳細は以下の記事をご覧ください。

関連記事:【2024年最新】ものづくり補助金とは?条件や申請手順を徹底解説

2.IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者等の労働生産性の向上を目的とした補助金です。ソフトウェアやサービスといった ITツールの導入をサポートします。

3.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組む際の費用を一部サポートする制度です。「事業支援計画書」をもって申請します。

4.事業再構築補助金

事業再構築補助金は、事業再構築を目指している中小企業等の取り組みを支援する補助金です。

弊社「Solashi Co., Ltd」でも、補助金の申請代行をおこなえるよう、さまざまな会社をご紹介しております。ご興味がある方は、是非お問い合わせください。

オフショア開発を活用する

オフショア開発とは、システム・ソフトウェアの開発業務を、海外にあるシステム開発会社に委託することです。

主要な委託国は、発展途上国です。これらの国は日本よりも人件費が安いため、開発コストの削減が期待できるでしょう。

詳しくは「オフショア開発とは?基本知識やメリット、失敗しないための対策」をご覧ください。

オフショア開発には「ラボ型開発」と「請負型開発」の2つがあります。このうちラボ型開発会社は、一定期間、エンジニアのリソースを確保し、社外に専任のエンジニアチームを構築できる開発形態です。

請負型は、仕様変更のたびに追加費用や見積もりが発生します。一方、ラボ型開発では、都度見積もりをすることはありません。開発期間を調整することで、対応ができます。

契約時点で仕様の方向性が固まっていない場合、ラボ型開発で契約をすると、開発コストを抑えられるでしょう。

ベトナムのオフショア開発会社である「Solashi Co., Ltd」では、ラボ型開発を得意としています。コストを抑えて、柔軟なシステム開発を進めたい方は、弊社までご相談ください。

オフショア開発のメリット

オフショア開発の代表的なメリットは以下の3つです。

  1. 開発コストの削減効果が期待できる
  2. 優秀なエンジニアを確保できる
  3. 開発体制を強化できる

それぞれのメリットを詳しく解説します。

開発コストの削減効果が期待できる

オフショア開発を活用すれば、日本と比べて人件費が安い、海外の開発会社に業務を任せられます。平均20%程度のコスト削減効果が見込めると言われています。

しかし、海外のエンジニアの人件費は上昇傾向にあり、また直近の円安の影響を受け、国内での開発とオフショア開発のコスト差は縮まってきているのが現状です。

より大きなコスト削減を目指すのであれば、開発期間が中長期のプロジェクトや、大規模な案件が適しています。短期的なプロジェクトは、プロジェクト全体に占めるコミュニケーションやプロジェクト管理の割合が大きくなりがちです。

また、委託国によっても単価が大きく異なります。オフショア開発で特に人気を集めているのが、ベトナムやフィリピンです。国ごとにエンジニアの単価が異なるため、事前に見積りを依頼するとよいでしょう。

各国の開発コストの目安は、「オフショア開発の費用|国別の単価相場とコストを抑える方法」をご覧ください。

優秀なエンジニアを確保できる

オフショア開発を利用すれば、優秀なエンジニアを確保できる可能性が高くなります。

たとえば、ベトナムのエンジニアは、全体的な技術レベルが高いといわれています。技術レベルが高い理由は、国策としてIT教育が推進されており、優秀なIT人材を輩出する環境が整っているからです。

以前は、HTMLやCSSのフロントエンドしか対応できないようなケースが見られました。しかし、現在はJavaやC#、PHPなどのプログラミング言語や、Vue.js 、Rails、Laravel などのフレームワークなどに問題なく対応できます。

AIやブロックチェーン、NFTなど最新技術を使った開発ができるエンジニアがいるのも事実です。

海外では、高いITスキルを持った技術者の育成に力を入れていることもあり、優秀なエンジニアのリソースを確保できます。結果的にプロジェクトをスピーディーに進行しやすくなるでしょう。

開発体制を強化できる

オフショア開発では、開発体制を強化できます。

エンジニアを自社で採用した場合は、開発環境を自社で用意しなければなりません。席の確保やパソコンの準備などの管理コストがかかります。

大規模な開発となれば、採用するエンジニアを多数採用する必要があり、管理コストだけではなく、人材獲得コストも負担になるでしょう。

オフショア開発では、こういった費用の負担はありません。国内にあるアウトソーシングの会社でも同じことが言えますが、委託するための費用は高額です。エンジニアの人月単価が高いため、少数精鋭で開発に臨むことも珍しくありません。

オフショア開発では、開発コストを抑えながら、充実した開発体制が構築できます。リードエンジニアやSE、BrSE、QAなどのメンバーを揃えて、日本よりも安く開発を進められます。

システム開発でコスト削減をするならSolashiにおまかせ

コストを抑えたシステム開発を実現するなら「Solashi Co., Ltd」にご依頼ください。

弊社では、ラボ型開発でスモールスタートしつつ、スピード感のある開発が可能です。さらに、要求の洗い出しや要件定義といった上流工程からの案件実施も可能であり、コストをできるだけ抑えた開発方法を提案できます。

弊社は、伴走型支援や、IT導入コンサルティングサービスなどもおこなっており、エンジニアはハノイ工科大学やベトナム国家大学、貿易大学等のトップ校出身者を中心に採用しています。

システム開発のコスト削減を検討している方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」までお気軽にお問い合わせください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

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