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画像認識技術の活用方法7選。導入例や注意点、手順も詳しく解説

画像認識技術の活用方法7選。導入例や注意点、手順も詳しく解説

画像認識技術の活用方法7選。導入例や注意点、手順も詳しく解説

画像認識は、AIを活用して画像内の対象を識別・分類する技術です。顔認証システムや外観検査、文字の翻訳など、幅広い目的で利用されており、ビジネスでの導入事例も増えています。

「画像認識の仕組みを詳しく知りたい」

「画像認識の活用例を知りたい」

「画像認識技術の導入までの具体的な流れを知りたい」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。画像認識の導入を検討する際には、画像認識の活用例や必要な準備を理解することが重要です。

本記事では、画像認識技術の種類と特徴を解説するとともに、ビジネスでの活用例を具体的に紹介します。また、画像認識を導入する際の手順と注意点についてもまとめました。画像認識の活用を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

画像認識とは

画像認識とは、画像に写っている人物やモノなどを認識する技術です。パターン認識技術(画像の中から一定の規則・意味を持つ対象を識別する技術)の一種であり、さまざまな分野で活用されています。

たとえば、IoTデバイスと画像認識技術を組み合わせれば、防犯カメラの映像を確認し、犯人を迅速に探し当てることが可能です。近年、ディープラーニング(深層学習)の発展に伴い、画像認識の精度は大きく向上しています。そのため、様々な分野での活用が進んでいます。

画像認識技術の歴史

画像認識の技術は、1940年代に誕生したバーコード技術に始まります。以下に、画像認識技術の歴史をまとめました。

年代トピック
1940年代バーコードの誕生で、文字や数字などの情報を読み取れるように。
1980年代PCの普及により、画像処理専用CPUが登場。
2000年代インターネットの普及で画像認識の技術が大きく向上。Googleの画像検索なども登場。
2010年代ディープラーニングで画像認識の精度が大きく向上。さまざまな分野で活用されるように。

このように画像認識技術は進化を続けており、それにともない活用の幅が広がっています。

混同しやすい画像処理との違い

画像認識と混同しやすいのが「画像処理」です。画像処理とは、機械やコンピュータなどが画像を認識しやすいように処理することを指します。たとえば、以下のような処理が該当します。

  • 画像のノイズや歪みを除去する
  • 画像の色、明るさ、彩度などを調整する
  • 対象物の輪郭をわかりやすく表示させる
  • 画像から対象物を抜き出す

このように、画像処理は画像認識の前処理として位置づけられます。意味や目的が異なるので、混同しないようにしましょう。

画像認識技術の種類

画像認識技術は、認識対象に応じて4種類に分類できます。

  • 物体認識
  • 顔認証
  • 文字認識
  • 画像キャプション生成

種類ごとの特徴、例を見ていきましょう。

物体認識

物体認識は、画像内の物体を識別する技術です。医療画像診断での病変検出、工場の製品検査、ロボットビジョンなど、幅広い分野で活用されています。近年注目されている自動運転を支える重要な技術でもあり、車に搭載されたカメラで道路にある標識を認識したり、歩いている人と街灯を区別したりすることが可能です。

機械学習やディープラーニングの手法により精度が大きく向上し、物体認識は身近なものになりつつあります。

顔認証

顔認証とは、人間の顔画像から目や鼻、口、輪郭などの特徴を抽出し、個人を識別する技術です。カメラに映っている顔画像と、データベースに登録した顔写真を照合し、本人かどうかを確認します。

顔認証の技術はセキュリティ強化と利便性向上のため、入退室管理や、PCやスマートフォンのログオン、施設や店舗での受付などで活用されています。

文字認識

文字認識(OCR)とは、紙に書いてある手書きの文字などを判別できる技術のことです。主な用途は以下の通りです。

  • 申込書の記入内容をデータベースに取りこむ
  • 紙の資料をスキャンしてペーパーレス化する
  • レシートを読み取ってデータ化する

近年では、文字認識と翻訳技術を組み合わせた高度なシステムも登場しています。これにより、多言語の文書を自動的にデジタル化し、翻訳することが可能になりました。

画像キャプション生成

画像キャプション生成とは、画像に何が映っているのかを識別し、それを簡潔な文章で説明する技術です。

画像や映像などに適切なキャプションを付与することで、画像検索の精度向上や、視覚障がい者への情報提供に役立てられます。また、大量の画像を効率的に分類・整理する用途でも活用されています。

画像認識の活用例7選

ここでは画像認識の技術が活用されている例を7つご紹介します。

  1. 顔認証システムによる入退室管理
  2. 工場の外観検査
  3. 人材分析
  4. スキンケア
  5. 無人コンビニ
  6. 文字の翻訳
  7. SNSマーケティング

画像認識技術はさまざまな形で取り入れられているので、実際に目にしたり、利用したりしたものもあるかもしれません。順番に解説しましょう。

1. 顔認証システムによる入退室管理

建物への入退室管理で、顔認証システムが活用されています。出入口に設置したカメラで入退室者を識別し、ドアのロックを解除するか瞬時に判断します。カードをかざす必要がない、偽装が難しいといった点がメリットです。

なお、顔認証システムは入退室管理以外にも、スマートフォンのロック解除やイベント会場の入場など、幅広いシーンで活用されています。

2. 工場の外観検査

工場では、製品や部品の異常・欠陥を見つけるために画像認識技術が活用されています。従来の目視検査では、検査員の熟練度や疲労度合いによって検出精度にばらつきが生じるリスクがありました。対して、画像認識システムは常に一定の基準で判定するため、検査品質の安定化と均一化が図れます。

画像認識技術は、検査を重ねるほどさまざまなタイプの異常・欠陥を学習します。そのため、使いながら精度を高めることが可能です。画像認識はAIの強みを十分に発揮できる分野であり、製造業の品質管理において重要な役割を果たすと期待されています。

3. 人材分析

画像認識技術は、採用プロセスにおける人材分析にも活用されています。紙の履歴書をスキャンしてデジタルデータ化し、そこからOCRを用いてテキスト情報を抽出します。

さらに、その情報をもとにAIが候補者の経歴や適性をリアルタイムで分析。これにより、企業は大量の応募書類から効率的に優秀な人材を見つけ出すことが可能です。加えて、客観的なデータに基づく評価により、採用担当者の業務負荷軽減と公平性の確保にもつながります。

弊社Solashiでは、このようなOCR用AIを用いたシステムを開発しています。画像認識技術に加え、AIなどの先端技術を用いたソリューションを提案可能です。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

4. スキンケア

画像認識の技術は、肌診断でも活用されています。スマートフォンのカメラで肌を撮影することで、水分量や皮脂量、毛穴の目立ち具合などを分析することが可能です。さらに、分析結果をもとに、最適な化粧水をレコメンドするといった使い方もされています。

今までは肌診断のために、化粧品売り場などで専用の機器を利用する必要がありました。画像認識技術を活用すれば、自宅で手軽に肌診断ができるようになります。

5. 無人コンビニ

無人コンビニの運営において、画像認識技術は極めて重要な役割を果たしています。入店時の顔認証、商品選択時の画像解析、レジ精算時の顔認証など、一連の購買プロセスを画像認識技術で自動化することで、店員が常駐しない無人店舗の実現が可能となります。

この技術により、人件費の大幅な削減と24時間営業が実現し、消費者の利便性向上にも寄与します。さらに、画像認識を活用した在庫管理の自動化や売上データの分析など、店舗運営の効率化も期待できるでしょう。

6. 文字の翻訳

五つ目が、文字の翻訳です。画像認識の技術を活用すれば、画像内に表示されている文字を読み取り、読み取った文字を翻訳することもできます

この機能は、特に海外旅行者にとって大きな助けとなるでしょう。旅行先の国の言語で書かれている看板や、店のメニューなどを読み取ることで、書いてある言葉の意味を正確に理解できます。AI技術の進歩に伴い、文字の読み取りや翻訳機能の精度はさらに向上すると期待されています。

7. SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、SNSを活用して行う販売促進やブランディングなどの施策のことです。従来は、SNS上のテキストデータを分析することが主流でしたが、画像認識技術の発展により、投稿画像や動画に含まれる情報も分析対象となっています。

SNSユーザーが投稿する画像には、そのユーザーの嗜好や関心、ライフスタイルなどが色濃く反映されています。画像認識を用いてこれらの画像を解析することで、ユーザーの特性をより深く理解できるようになります。たとえば、SNS上の画像を分析し、ユーザーがどのようなスタイルの服装を好むのかを把握できれば、より的確なターゲティング広告の配信が可能となるでしょう。

画像認識を活用したSNSマーケティングは、ユーザーのニーズや興味関心をより正確に捉えることを可能にし、より効果的なプロモーション施策の立案に役立ちます。

画像認識の課題

画像認識を導入する際には、以下の課題があることを認識しておきましょう。

  • 膨大な画像データが必要になる
  • プライバシー保護に配慮する必要がある
  • 誤認識が発生するケースがある

それぞれの課題について解説します。

膨大な画像データが必要になる

画像認識において高い精度を実現するには、大量の画像データによる学習が不可欠です。物体や人物を正確に識別するためには、数万から数十万規模の画像が必要とされます。ただし、OCRや顔認証のようなサービスを利用する場合、提供元が学習済みのモデルを用意していることが一般的です。そのため、ユーザー自身が膨大な画像を用意しなければならないケースは少ないといえるでしょう。

ただし、自社で学習データを用意する場合は、データの収集方法や画像処理方法を十分に検討しなければなりません。不適切なデータを収集したり、十分な画像処理を実施しなかった場合、精度の低いシステムになってしまう可能性があります。

そのため、専門的な知見を持つデータサイエンティストやエンジニアと協力し、適切なデータ収集と処理の方法を検討することが重要です。彼らの知恵を借りることで、高精度な画像認識システムを構築できるでしょう。

プライバシー保護に配慮する必要がある

画像認識をビジネスで活用する上で、プライバシー保護には細心の注意を払う必要があります。特に、顔画像など個人を特定できる情報を扱う場合は、慎重な対応が求められます。個人の顔画像を本人の同意なしに利用することは、肖像権の侵害に当たる可能性があります。データ収集時に利用目的を明示し、適切な同意を得ることが重要です。

また、収集した個人情報の管理体制の整備も欠かせません。漏洩防止のためのセキュリティ対策を講じるとともに、データの取り扱いに関する明確な方針を定め、適切に運用することが求められます。

画像認識技術の発展に伴い、プライバシーの保護と活用のバランスを取ることの重要性は、ますます高まっています。技術の利点を生かしつつ、ユーザーの信頼を損なわないよう、倫理的な配慮を怠ってはなりません。

誤認識が発生するケースがある

画像認識技術の精度は向上したとはいえ、誤認識が発生する可能性はあります。特に、学習データにない特殊なケースや、環境の変化によっても、誤認識のリスクは高まります。そのため、画像認識の結果を鵜呑みにせず、人間の目でダブルチェックすることが重要です。AIの判断を全面的に信頼するのではなく、あくまでも補助的なツールと位置づけるべきでしょう。

ビジネスの現場で画像認識を活用する際は、事前にシステムの認識精度を十分に検証しておく必要があります。想定されるユースケースにおいて、どの程度の精度が期待できるのかを見極めておくことが肝要です。

加えて、誤認識が発生した場合の対処方法を予め定めておくことも重要です。人的な確認体制の整備や、異常検知時の業務フローの設計などが求められます。

画像認識技術を導入する手順

ここでは、企業で画像認識技術を導入する手順を解説します。

  1. 導入目的を明確にする
  2. 学習データを用意する
  3. 画像認識技術を構築する
  4. 使いながら精度を高める

自社だけですべてを実施する必要はありません。画像認識の開発や導入に関するノウハウが社内にない場合でも、外部のリソースを活用することで対応可能です。具体的な流れを順番に解説します。

1.導入目的を明確にする

画像認識技術を導入する際は、まず目的を明確にすることが重要です。導入の目的に応じて、必要となるシステムの仕様やスペック、体制が異なるためです。

たとえば、自動運転や医療診断など、人命に直結する用途では、極めて高い認識精度が求められます。それに対し、書類のデータ化など、精度よりも効率性を重視する用途であれば、多少の誤認識は許容できるかもしれません。

また、顔認証による入退室管理システムでは、セキュリティ面での信頼性が問われます。認証精度の高さだけでなく、なりすまし防止などの対策も必要になるでしょう。

このように、画像認識の導入目的を明らかにすることで、実現すべき機能や性能の優先順位が見えてきます。それを基に、最適なシステム構成や運用体制を設計することが可能となります。

2.学習データを用意する

次に、学習データを準備します。AIモデルの判断精度を高めるためには、大量の画像データを用いた学習が不可欠だからです。学習データの用意には、既存のデータセットを利用する方法と、自社で収集する方法の2つがあります。

既存のデータセットを利用する方法であれば、データ収集の手間を大幅に削減できます。一方、自前でデータを集める場合は、品質管理が重要になります。まず、必要なデータの要件を明確にしましょう。そして、集めた画像をどのように収集・整形するかをしっかり検討します。システムの精度を向上させるために、適切な方法で学習データを整えることが大切です。

学習データの質と量は、システムの性能を大きく左右します。目的に応じて、最適な収集方法を選びましょう。コストと効果のバランスを考えることが肝心です。

3.画像認識技術を構築する

学習データの準備が整ったら、いよいよ画像認識モデルの構築に取り掛かります。構築には、ゼロから開発する方法と、既存モデルに学習データを追加する方法の2つがあります。どちらの場合も、画像認識分野の知識と実装スキルが必要となります。

社内に適任者がいない場合は、外部の専門家に依頼するのも一つの選択肢です。その際は、類似システムの開発実績や、技術サポート体制を確認しておきましょう。また、構築するモデルの目的や要件を明確に伝えることも重要です。認識対象や精度、速度など、具体的な目標を共有することで、開発者とのコミュニケーションがスムーズになります。

画像認識モデルの構築は、専門性の高い作業です。自社の体制や目的に合わせて、最適な開発手法を選択しましょう。

4.使いながら精度を高める

画像認識システムの構築が完了しても、そこで終わりではありません。実際の運用を通して、継続的に精度を高めていく必要があります。

運用の中で、上手くいかなかったケースを分析し、追加の学習データを収集・投入して、徐々に認識精度を向上させましょう。分析と改善を繰り返すことで、自社に最適化されたシステムになり、生産性向上に寄与します。

画像認識技術を活用したいなら「Solashi」におまかせ

本記事では、画像認識技術の概要と活用例について詳しく解説しました。物体認識や顔認証、文字認識など、様々な分野で画像認識が役立てられています。画像認識を導入することで、業務の自動化や効率化、セキュリティ強化、ユーザー体験の向上などが期待できます。

一方で、高精度な画像認識システムを構築するには、専門的な知識とノウハウが不可欠です。学習データの収集や前処理、モデルの選定と学習、運用時の精度評価と改善など、多岐にわたる工程をこなす必要があります。

こうした画像認識の活用にお悩みの方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」にご相談ください。Solashiは、システム開発だけでなく、顔認証や文字認識など、画像認識分野に特化した開発実績を多数有しています。お客様の課題やゴールをヒアリングし、専門的な視点からアドバイスいたします。

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島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

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