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システム開発の生産性向上とは? 必要性と評価指標、有効な施策を解説

システム開発の生産性向上とは? 必要性と評価指標、有効な施策を解説

システム開発の生産性向上とは? 必要性と評価指標、有効な施策を解説

近年、人手不足と働き方改革の推進により、日本の会社は効率的な運営を求められています。

特にシステム開発の分野では、技術の進化と市場の変化に迅速に対応し、高品質なサービスを提供することが急務です。

現代ビジネスでは、システム開発での生産性向上の重要性が、これまで以上に高くなっています。

「生産性を向上させたいが、具体的な施策がわからない」
「そもそも生産性とは何かわかっていない」

このような方に向けて、システム開発の生産性をテーマに記事をお届けします。生産性を測る指標、生産性向上で得られるメリット、具体的な施策を徹底解説するので、ぜひ参考にしてください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

システム開発における生産性とは

システム開発における生産性とは、開発チームが一定の時間内にどれだけの成果を上げたかを指します。

たとえば、組んでいたスケージュールよりも、短期間でソフトウェアやシステムを開発できた場合、生産性が高いと評価できます。少ないリソースで効率よく開発できれば、さらに生産性は向上するでしょう。

時間だけでなく、成果物の品質も重要です。システム開発の品質とは、コードの可読性や保守性、システムの安定性などを指します。

成果物の品質が低ければ、不具合が頻発したり、バグの修正に時間がかかったりします。さまざまな問題が発生した結果、プロジェクトの進行が遅れるかもしれません。

つまり、システム開発の生産性向上とは、少ないリソースで、高品質な成果物を開発することを意味します。

システム開発の生産性を測る指標・計算式

システム開発の生産性を測る代表的な指標として、「物的労働生産性」と「付加価値生産性」が挙げられます。この2つがどのような指標なのか、計算式と併せて解説します。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、労働者1人当たりの生産効率を求める指標です。

計算式は以下の通りです。

物的労働生産性=生産量÷労働量
生産量…設計書作成本数、モジュール製造数、テスト実施件数
労働量…開発メンバーの人数、労働時間など

注意しておきたいのは、システム開発で生産量の尺度を決めるのは難しい点です。

工場のように同一の製品を大量に生産する場合、物的労働生産性は非常に有効です。1時間に1,000個の製品を作っていたところを、2,000個作れるようになれば、それは生産性が向上したと判断できます。

しかし、システム開発で生産量の尺度となる「設計書」「モジュール」「テスト」は、案件によって中身が異なります。

たとえば、ソフトウェアテストで確認する内容やテスト条件、テスト実行の手順は同じでも、複雑なシステムで難易度が高くなければ、より多くの労働時間を要します。

そのため、物的労働生産性の指標だけで、システム開発の生産性を測るのは簡単ではありません。

付加価値生産性

付加価値生産性とは、労働量1単位あたりでどれだけの新しい価値を生み出したかを測る指標です。

計算式は以下の通りです。

付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量 
付加価値額 … 製品の販売額から経費や外部購入した費用を差し引いた額 
労働量 … 生産にかかった労働量。単位は時間や人数

注意したいのは、付加価値生産性は販売額に影響を受ける点です。販売額が変動すると正確な計算ができません。

たとえば、自社Webサービスのように販売額が変動する場合は、付加価値生産性の算出は難しいでしょう。

「物的労働生産性」と「付加価値生産性」は、あくまでも生産性を測る指標の1つです。生産性をより計測しやすくする方法として、階層ごとの評価があります。

システム開発生産性の3階層

システム開発の生産性は3つの階層に分けられます。

階層生産性の種類内容
1階層業務量の生産性決まった時間内でどれだけの業務量をこなせるか
2階層期待付加価値の生産性個々の施策がどれだけシステムの価値に影響するのか
3階層実現付加価値の生産性実際の価値(売上など)をどれだけ生み出したか

1階層は業務時間の記録から算出できるので、比較的容易にデータを集められます。

2階層と3階層は実際にどれだけの価値があるのか評価するのに時間がかかることに注意しましょう。

生産性を可視化し、向上するための計画を考えるには、これらの階層を踏まえて多角的に検討することが重要です。

システム開発で生産性向上が必要な背景

なぜ、システム開発の生産性向上が必要だとされているのでしょうか。その背景は以下の3つです。

  • 人手不足で人材確保が難しくなっている
  • 長時間労働の是正が求められている
  • 市場競争が激化している

これらの問題の解決策として、生産性の向上が急務となっています。1つずつ解説しましょう。

人手不足で人材確保が難しくなっている

人手不足により、IT人材の確保が難しくなっています。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX白書2023」によると、2021年度の調査では、IT人材が「やや不足している」、「大幅に不足している」と回答した企業は7割を超えました。

このことから、多くの企業が人材不足に悩まされており、IT人材の確保が難しいことが分かります。そのため生産性向上に取り組み、少ない人的リソースで高い成果をあげることが重視されています。

(参照:DX白書2023|IPA情報処理推進機構)

長時間労働の是正が求められている

働き方改革の一環として、長時間労働の是正が求められています。2019年4月施行の改正労基法で、残業は月45時間、年360時間までと上限が設けられました。

長時間労働は、従業員の心身を疲弊させ、パフォーマンスの低下を招きます。それだけでなく、長時間労働が常態化すると、メンタル不調により休職・退職につながる恐れがあります。

しかし、単に労働時間を短縮するだけでは、根本的な解決にはなりません。業績が低下したり、プロジェクトが長期化したりする可能性もあります。

そこで重要となるのが、システム開発の生産性の向上です。生産性を高めることで、限られた時間内で高い成果を出せるようになり、システム開発にかかる時間を短縮できます。

このように、従業員の健康とパフォーマンスを保つため、生産性向上に向けた取り組みを進めることが必要です。

(参考:時間外労働の上限規制│厚生労働省

市場競争が激化している

市場競争が激化していることも、生産性向上が重要課題になっている背景の1つです。

近年、グローバル化の影響で、海外の資本が日本市場に続々と参入しています。人件費の安い国々は低価格で製品・サービスを製造・販売できるため、コスト面で優位な立場にあります。

また、ニーズの急速な変化も激化の理由です。消費者のニーズをいち早く察知して、新しい技術やサービスを柔軟に開発し、市場に投入することが求められています。

これらの理由から、システム開発に携わる会社は生産性を向上させ、市場で優位に立つ必要があります。

システム開発の生産性向上がもたらす4つのメリット

システム開発の生産性向上で得られるメリットを、以下の4つに分けて解説します。

  1. 人的リソースを節約できる
  2. 市場競争で優位になれる
  3. 製品・サービスの質が向上する
  4. イノベーションが促進される

人的リソースを節約できる

生産性の向上により、より少ない人材で業務が遂行できます。その結果、人的リソースを節約できるようになります。

生産性向上の施策の一つとして、業務効率化があります。業務効率化とは、業務内容を見直して、業務に必要なリソースを削減し、改善する取り組みのことです。業務効率化により、少ない人数で業務遂行、開発期間の短縮化が可能になります。

限られたエンジニアで多くのアウトプットをするためには、業務効率化が効果的です。具体的な施策は「システム開発を効率化するには?効率が下がる原因と向上する施策」をご覧ください。

人材の確保が困難になっている昨今、人的リソースを節約できることがメリットです。

市場競争で優位になれる

生産性の向上は、市場競争での優位性を確保するために不可欠です。その理由は2つあります。

まずは、生産性を高めることでコストを削減し、価格競争で優位性を獲得できるからです。生産性の向上は、開発にかかる費用を減少させ、結果として製品をより低価格で提供できるようになります。

そして、開発スピードの加速により、市場の変化に迅速に対応できるからです。新しい市場のニーズに素早く対応することで、競合他社よりも一歩先に進めるようになります。

海外資本の参入、ニーズの多様化などで、市場競争は激化しています。そのような状況で優位に立てる可能性があるのが、システム開発の生産性を向上するメリットです。

製品・サービスの質が向上する

システム開発の生産性を高めることで、より高品質な製品・サービスを提供できるようになります。

生産性の向上により、開発プロセスが加速し、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを速やかに回せるようになります。改善のサイクルを短期間で何度も実行することが可能です。この結果、顧客のフィードバックや市場のニーズに迅速に応えられるようになるでしょう。

さらに社内に品質改善のノウハウが蓄積され、より効果的な施策を効率的に実行できるようになります。

高品質な製品・サービスは、顧客ロイヤリティの向上と市場での優位性をもたらすでしょう。

イノベーションが促進される

システム開発の生産性向上は、社内のイノベーションを促進させます。

変化を続ける市場への対応、新たな事業の創出、社内業務のDX化などで、思うように進まず、お悩みの方も多いのではないでしょうか。これらを実現するには、創造的なアイデアと新たな手法で組織を変革するイノベーションが重要です

しかし、日常業務に忙殺される中で、新しい取り組みへの時間を確保することは簡単ではありません困難です。また、過度な業務負担は従業員の疲労とモチベーションの低下を招きます。

イノベーションへの道を開くためには、従業員の時間的余裕を確保することが欠かせません。

システム開発の生産性向上をすることで、少ない人的リソースで成果を出せるようになります。これにより従業員は創造的な活動に時間を使うことが可能です。

たとえば、業務プロセスの改善、新しいアイデアの具現化、新規事業の発足など、イノベーションを推進する活動に取り組むことが可能になるのです。

システム開発の生産性向上を阻害する4大要因

システム開発で生産性を低下させる4つの要因を解説します。

  1. 非効率な業務、作業工程
  2. エンジニアのスキル不足
  3. 人件費の高騰
  4. 人材配置の不備

これらの要因を放置していると、生産性向上の施策を講じても、思ったような効果が得られません。一つずつ解説します。

非効率な業務、作業工程

非効率な業務は、プロジェクトの遅延と品質の低下を引き起こします。

たとえば、過度に詳細なドキュメントの作成をおこなったり、プロジェクト要件に不必要な機能を追加したりする業務は、成果物の品質に関係ない作業を増やします。

また、不十分な要件定義や不適切なプロジェクト管理は作業の戻りを引き起こす可能性があります。

非効率な業務を放置していると、継続的に時間とコストを浪費し続けます。システム開発の効率の悪化にもつながるため、早急な業務の改善・効率化が必要です。

エンジニアのスキル不足

エンジニアのスキル不足は、システム開発の生産性を低下させる要因となります。

新人エンジニアや開発分野の経験が浅いエンジニアが業務にアサインすると、作業の遅れや品質の問題が発生しやすくなります。作業のやり直しやリリース後の問題解決に時間とリソースが割かれるためです。

この問題に対処するには、従業員の継続的な教育とスキルアップが重要です。ただし、エンジニアが一定のスキルを上げるには時間がかかり、即効性は期待できません。

そのため、社内での人材育成をおこないつつ、同時に外部から優秀な人材を確保することが、生産性の維持と向上には有効です。

人件費の高騰

人件費が上昇すると、生産性の低下をもたらします。

これは、人件費の上昇が付加価値額を減少させるためです。付加価値額とは、売上から人件費や材料費などの経費を引いたもので、付加価値労働生産性の計算に使用されます。

 付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量

この生産性は、付加価値額を労働量で割って求めます。人件費が上昇すれば、付加価値額の減少と付加価値労働生産性の低下を引き起こします。

現在のような人手不足の状況では、優秀な人材を確保する採用コストは高く、雇用する人件費も大きな負担にならざるをえません。

そのため、アウトソーシングのような業務に必要なときだけ費用がかかる方法を活用し、人件費を適切にコントロールすることが大切です。

人材配置の不備

人材配置の不備も、システム開発の生産性低下の要因になります。

適切ではない人材配置の例として、以下のような状態が考えられます。

  • 高度なスキルを持つエンジニアに、簡単な業務を任せる
  • 従業員のスキルに合った業務がないので、アイドリングさせている

人的リソースが不足している会社では、上記のように人材をうまく活用できない状態に陥りがちです。

この問題に対処するためには、アウトソーシングを含むさまざまな方法を活用して、適材適所の人材配置をおこなうことが重要です。

たとえば、簡単な業務をアウトソーシングすれば、手の空いた優秀なエンジニアに高度な仕事を任せることが可能になるでしょう。

システム開発の生産性を向上させる5つの施策

ここではシステム開発の生産性を向上させる、5つの施策をご紹介します。

  1. 業務内容の見直し、効率化
  2. 業務ツールの導入
  3. 優秀な人材の確保
  4. 人材の教育
  5. アウトソーシングの活用

業務内容の見直し、効率化

業務内容を見直して、効率化を図りましょう。業務の効率化は、一度実施すれば継続的に効果が得られるので、優先的に実施していきたい施策です。

実態を把握するために、業務プロセスを洗い出しましょう。そこから無駄な作業や非効率な工程を見つけ、改善を実施します。

業務効率化の施策は一部の担当者だけで取り組むのではなく、社内全体を巻き込むことが欠かせません。従業員の協力を得ることで、施策が効率的に進み、さまざまな意見やアイデアが集まるからです。

また、業務プロセスの改善に長けたコンサルティングやアウトソーシングを利用して、外部の知見を得ることも有効です。

業務ツールの導入

業務ツールの導入は、システム開発の生産性を劇的に向上させます。自社に合ったツールを導入することで、開発期間の短縮、業務品質の向上などが期待できます。

たとえば、自動化ツールがその代表です。ルーチン作業のような繰り返しが多いものは、自動化することで作業時間を大幅に短縮できます。システム開発現場では、テスト自動化ツールが広く利用されています。

また、プロジェクト管理ツールも効果的です。プロジェクトの進捗状況を可視化し、最適なリソース配分を実現します。また、メンバーがプロジェクトの進捗をリアルタイムで確認できるので、認識の統一、問題の早期発見が可能です。

このような業務ツールの活用で、業務の効率と質が向上します。

優秀な人材の確保

優秀な人材を確保することで、システム開発の生産性は大きく向上します。

技術力と問題解決能力を兼ね備えたエンジニアは、プロジェクトの効率化と品質の向上を実現します。

また、新しい知見を取り入れることで、アイデアの創出、組織の課題解決などのイノベーションも期待できるでしょう。

ただし、現在の採用市場では、特に技術分野の人手不足が顕著で、優秀な人材を見つけることは一層困難になっています。そのため、正社員のほかフリーランスや非正規雇用のエンジニアを積極的に受け入れるのも有効です。

人材の教育

従業員のスキル向上を図ることで、システム開発の生産性向上が期待できます。

社内研修、外部セミナー参加、オンライン教育プログラムなどの成長機会を提供し、エンジニアの技術レベルの底上げを目指しましょう。

その結果、非効率な業務や無駄な手順の見直しが実現でき、よりよいアプトプットをできるようになります。

また、従業員の成長を積極的に支援することで、従業員のロイヤルティが向上するメリットもあります。会社への愛着心、仕事のやる気が高まり、パフォーマンス向上・離職率の低下の効果が期待できるでしょう。

ただし、人材教育には時間とコストがかかります。長期的な投資と考え、並行して業務効率化の全社的な施策も実施しましょう。

アウトソーシングの活用

アウトソーシングは、自社でおこなっている開発業務を、専門の開発会社に委託することです。

アウトソーシングを活用することで、経験豊富なエンジニアに開発業務を任せられます。また、業務改善やIT体制構築などの業務を依頼することで、自社にはなかったノウハウを取り入れることが可能です。

これらの結果、社内のリソースをコア業務に集中させ、生産性を向上させられます。

アウトソーシングを選択する際は、自社のニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。対応できる業務、サービスの手厚さ、料金などを参考にしましょう。

アウトソーシングの中でも、オフショア開発は優れた選択肢の一つです。オフショア開発とは、国内よりコストが安い海外のシステム開発会社にシステムやソフトウェア、アプリケーションの開発、保守・運用を委託することです。

近年では、ベトナムが日本からの高い人気を集めています。人件費を抑えながら、優秀なエンジニアを確保できます。最先端や最新技術にも対応しているため、高品質な開発が可能です。

ベトナムのオフショア開発会社「Solashi Co., Ltd」は、高い技術開発力と日本語力で、お客様のご要望に応じたシステム開発を低コストで実現します。ぜひお気軽にお問い合わせください。

システム開発の生産性向上ならSolashi

この記事では、システム開発の生産性向上をテーマに、メリットや具体的な施策を解説しました。

人手不足、市場競争の激化などの理由で、会社のリソースが限られた状況でも、高い成果をあげることが求められています。そのため、システム開発の生産性向上は急務です。

生産性向上の施策はさまざまですが、効果的な施策を講じるには、専門的な知見と優れたIT人材が必要となります。

システム開発の生産性を向上したいとお考えなら、弊社「Solashi Co., Ltd」にお任せください。高い技術力を持ったIT人材により、お客様の抱える課題を解決します。

弊社は、オフショアが盛んなベトナムのシステム開発会社です。日本でアウトソーシングを任せられる会社に比べて、コストを抑えた開発ができます。要件定義、開発、デザイン、運用保守など、幅広い業務に対応できる優秀なベトナム人エンジニアや、日本PMが揃っています。

現在のシステム開発環境を改善したい、開発リソースを確保したいとお悩みの方は、「Solashi Co., Ltd」までお気軽にご相談ください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

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