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オフショア開発の最新動向と人気国ランキング!上位7カ国の特徴

オフショア開発の最新動向と人気国ランキング!上位7カ国の特徴

オフショア開発の最新動向と人気国ランキング!上位7カ国の特徴

「オフショア開発を検討しているけれど、どの国を選ぶべきかわからない」
「自社に合ったオフショア開発国を知りたい」
「日本国内で人気のオフショア開発国を知りたい」

このような関心をお持ちの方に向けて、オフショア開発の国選びのポイントをわかりやすく解説します。

オフショア開発では、国によって特徴や相場が大きく異なります。委託先を選定する際は、会社ごとの強みや特徴だけでなく、各国の傾向や情勢も理解しておくことが大切です。

本記事では、近年のオフショア開発の動向や人気国ランキング、上位7カ国の特徴をご紹介します。

島添 彰

合同会社Solashi Japan 代表取締役。サントリーにて社内向けシステムの開発・運用に携わる。Yper株式会社を創業し、CTO・CPOとしてプロダクトの立ち上げ・グロースに従事。

オフショア開発の現状と動向 

もともとオフショア開発は、コスト削減の手段として広がりを見せていました。ところが最近では、リソース確保を目的に活用されるケースが増えているといわれています。

この背景にあるのは、日本国内でのIT人材不足です。DXの推進とともに、IT関連の投資やセキュリティニーズが増加し、昨今ではIT人材の需要がますます高まっています。

需要に対して供給が追いつかずIT人材不足が深刻化するであろうという問題は、以前から懸念されてきました。

2022年のIPAの調査によると、「IT人材の量は、85%以上のIT企業が不足を感じている」と回答しています。

そのうち「大幅な不足を感じているIT企業は全体の約32%を占めており、前年から7%ほど増加」しています。

(参照:デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2022年度) 企業調査報告書|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

こうした状況の解決策として、リソース確保のためのオフショア開発が注目されている現状です。顕著な二つの動向を詳しく見ていきましょう。

大手の会社で関心が高まっている

オフショア開発.com発行の「オフショア開発白書(2023年版)」からは、従業員規模の大きい会社でオフショア開発への関心が高まっていることがうかがえます。

なお、オフショア開発.comは、株式会社テクノデジタルが運営するマッチングプラットフォームです。

(出典:オフショア開発白書(2023年版)│オフショア開発.com

上の図は、「オフショア開発白書(2023年版)」内のデータです。2022年、オフショア開発.comにオフショア開発案件の相談があった会社の従業員規模の割合を示しています。

グラフでは、100名以下の会社が6割以上を占めています。一見、オフショア開発は小規模な会社で活発であると映るかもしれません。

しかし、総務省・経済産業省による会社数の統計では、100名以下の会社が9割以上を占めています。それ以上の従業員を抱える会社は、わずかな数しかありません。

会社数の比率を考慮すると、従業員規模の大きい会社こそオフショア開発に積極的であると見なすこともできるでしょう。1,000名を超える会社の比率は26%に上ります。

(参照:令和3年経済センサス‐活動調査 産業横断的集計 (事業所に関する集計・企業等に関する集計) 結果の概要 |総務省・経済産業省

とくに注目したいのが、5,001名以上の大規模な会社です。グラフでは14%を占めています。

資料の説明によると、この数字は昨年(2022年)の7%から大幅に増加したとのことです。

大規模な会社でオフショア開発への関心が急速に高まっていることがわかります。リソース不足の課題感が明確になっていると言及されています。

(参照:オフショア開発白書(2023年版)│オフショア開発.com

ベンダの割合が拡大している

(出典:オフショア開発白書(2023年版)│オフショア開発.com

上の図は、同じく「オフショア開発白書(2023年版)」に記されているグラフです。

オフショア開発の相談があった会社の属性(ベンダ・エンドユーザー)の割合を示したものです。

オフショア開発を活用する場合は、自社サービスの開発を依頼するのが「エンドユーザー」です。対して「ベンダ」は、クライアントから受注した案件の開発を依頼します。

自社の開発環境だけではリソースが足らず、業務をほかの開発会社に委託するようなケースがイメージしやすいでしょう。

グラフを見ると、エンドユーザーが67%、ベンダが33%で、エンドユーザーからの相談が多くの割合を占めています。現状では、自社サービスの開発を海外に委託し低コスト化を図りたいと考えている会社の割合が多いと読み取れるでしょう。

一方で、ベンダからの相談の割合は、前年と比較し25%から33%へ拡大した結果であると説明されています。ベンダによるオフショア開発活用は、自社のリソース不足を補填する性質が強いものです。

したがって、近年では国内のIT人材不足からオフショア開発を利用するケースが増加していることが予想できます。

関連記事:「開発リソースとは?不足する原因・影響・今後の対策を解説

オフショア開発の人気国ランキングTOP7

オフショア開発の委託先ランキングと、その特徴をご紹介します。「オフショア開発白書(2023年版)」で公開されているTOP7カ国は、以下の通りです。

  • 1位|ベトナム(48%)
  • 2位|フィリピン(21%)
  • 3位|インド(13%)
  • 4位|バングラデシュ(8%)
  • 5位|中国(4%)、ミャンマー(4%)
  • 6位|ウクライナ(2%)
    ※ ただし「指定なし」が全体の64.8%

(参照:オフショア開発白書(2023年版)│オフショア開発.com

ここでは上位7カ国の特徴や文化、向いている発注元会社、相場を解説します。

1位|ベトナム

「オフショア開発白書(2023年版)」では、ベトナムは開発検討先として半数近くもの割合を占めています。

ベトナムは、東南アジア諸国の中でも、コストパフォーマンスのよいオフショア開発国として広く知られています

国策によりIT教育が推進されており技術者が多くいるほか、日本での実績も豊富で、依頼しやすいオフショア開発国の一つです。

ベトナムの人月単価は、40万円程度からが一般的とされています。円安の影響を受けているものの、ほかの国と比較しても安い傾向にあります。

コストを抑えつつ、人材を確保することで、高品質なシステム開発を進めたい会社にベトナムはおすすめです。

オフショア開発国としてのベトナムの特徴や魅力を詳しく知りたい方は、「オフショア開発ならベトナムが最適な理由8つと優良な会社の選び方」をご覧ください。

2位|フィリピン

フィリピンは英語が通じやすい国として、日本だけでなく欧米諸国からのオフショア開発先としても人気があります

国民の平均年齢が若く、外資系の会社で働くことに慣れているフレンドリーな人材が豊富な点も特徴です。

人月単価の目安は30万円程度からとなっており、コストも比較的リーズナブルです。英語を用いてスピーディにコミュニケーションを取りたい会社におすすめします。

その特性からフィリピンの開発会社は、英語圏におけるシステム開発や、多国籍の開発プロジェクトなどで広く活用されています。

3位|インド

インドはIT教育が盛んで、IT大国として広く知られている国の一つです。

人口が多く、実力のあるエンジニアがたくさんいます。一方で、その技術力の高さから、人月単価の目安は50万円程度からとやや高めになっています

インドには日本語に対応できるエンジニアは少ないですが、ブリッジSEや通訳を介せば委託することは可能です。

IT大国であることから対応領域が広く、大規模な案件や、高度なスキルが必要な案件なども依頼できる点が大きなメリットです。

4位|バングラデシュ

バングラデシュは、2022年時点で約1億7千万人もの人口を抱えています。

国民の平均年齢が若く、フレッシュな人材が豊富な国です。また、IT事業に対し免税をはじめとした国策が打たれており、昨今のIT領域において著しく成長を遂げています

人月単価は45万円程度で、相場としては平均的です。日本語を扱える人材はほとんどおらず、日本語対応を条件に組み込むと単価は上がりやすくなります。

5位|ミャンマー

ミャンマーは勤勉な国民性から日本人との相性もよく、プロジェクトチームとしてマネジメントがしやすいことで人気の開発国です。

また、日本語教育に力を入れていることも大きなポイントです。比較的コストパフォーマンスよく日本語に対応してもらえるでしょう。

人月単価は27万円程度といわれています。予算を抑えてオフショア開発を依頼したい会社に向いています。

6位|中国

日本のオフショア先として古くから人気のあった中国も、ミャンマーと同率の5位で根強くトップ入りしています。

IT大国として知られる中国のオフショア会社は、高度な技術をもっているのが魅力です。

ただし実際に依頼する際には、国民性や文化の違いを理解した上で、認識相違がないようコミュニケーションを図ることが大切です。

たとえば、責任の所在に対する意識が異なることで、不利益を被る恐れがあるからです。各工程や状況での責任有無を明確にして、「言った言わない」のトラブルが発生しないように努めるとよいでしょう。

中国の人月単価は、おおよそ50万円程度からです。GDPの上昇に伴い、沿岸部を中心に各地で高騰気味となっています。

7位|ウクライナ

2023年、新たに人気国にランクインしたのがウクライナです。日本語話者は少ないものの、英語によるコミュニケーションは可能です。

ウクライナはスキルの高いエンジニアが多く、IT領域で目覚ましい成長を遂げている国の一つです。カントリーリスクとして、ロシアによるウクライナ侵攻の影響が懸念されるかもしれません。

しかし、IT会社の多くは、比較的被害の少ないウクライナ西部や国外に開発チームを移動しているといわれています。情勢を見ながら検討してみるとよいでしょう。

より各国の費用を詳しく知りたい方は「オフショア開発の費用|国別の単価相場とコストを抑える方法」をご覧ください。

オフショア開発国を選ぶ2つのポイント

オフショア開発国を選ぶときのポイントをご紹介します。

  1. 日本との時差が少ない国を選ぶ
  2. カントリーリスクに気をつける

日本との時差が少ない国を選ぶ

オフショア開発では、日本との時差が少ない国を選ぶことでコミュニケーションが取りやすくなります

実際、先にご紹介した人気国ランキングでは、地理的な距離の近い東南アジア諸国が上位を占めていました。これらの国が、日本のオフショア開発の中心であることがうかがえます。

時差のある国でも依頼できないわけではありません。しかし、やり取りに時間がかかり、スムーズな進行が難しくなることも予想されるでしょう。

自社の営業時間中にレスポンスをもらえる程度の時差に留めておくことをおすすめします。理想としては、日本との時差が2〜3時間以内の範囲であるとよいでしょう。

<各オフショア開発国の時差>

日本との時差
ベトナム2時間
フィリピン1時間
インド3.5時間
バングラディシュ3時間
中国1時間
ミャンマー2.5時間
ウクライナ7時間

カントリーリスクに気をつける

オフショア開発国を選ぶときには、カントリーリスクにも気をつけましょう。カントリーリスクとは、各国の政治経済状況や災害などにより生じる可能性のあるリスクのことです。

特に、発展途上国や新興国を選ぶ場合、情勢によっては納期の遅延リスクがあることも踏まえて依頼するようにしましょう。

オフショア開発なら人気国ベトナムのシステム会社「Solashi」まで

オフショア開発なら、人気国ベトナムのシステム開発会社「Solashi Co., Ltd」がおすすめです。

弊社には、事業立ち上げやスタートアップ案件を担った経験のある日本人PMが複数名在籍しています。

ITプロジェクトの進捗管理やシステム開発の技術に精通したメンバーを揃えており、BtoB・BtoCを問わず幅広い案件に対応可能です。

日本語が堪能なブリッジSEも開発をサポートし、現地のエンジニアに対して希望の詳細や細やかな指示を翻訳して伝達します。言葉の違いによるギャップを感じずに、安心してご依頼いただけます。

オフショア開発でコストパフォーマンスがよくスムーズな依頼をご希望の方は、ぜひ「Solashi Co., Ltd」までお問い合わせください。

島添 彰

合同会社Solashi Japan代表。1989年4月生まれ、福岡県出身。大阪府立大学大学院情報数理科学専攻修了。2014年サントリーホールディングスのIT機能をもつ「サントリーシステムテクノロジー株式会社」に入社。自動販売機の配送管理や効率化、販売管理システムの開発から運用、導入まで広く担当する。2017年にYper株式会社を創業、同社のCTO・CPOに就任。アプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」の立ち上げ・プロダクトのグロースに携わる。東洋経済社の名物企画「すごいベンチャー100」、Forbes誌による「Forbes 30 Under 30 Asia 2019」に選出される。

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